January 3, 2021

もし、誰かがFXで最も重要で流動的な通貨ペアはどれかと質問してきたら、きっと即答するでしょう。初心者ですら、次のように答えます: “もちろん, EUR/USD”。これには、疑う余地もありません。: このペアの取引量は、一日あたり$1.1兆です。この二つの通貨は、世界で最も経済力があり、米ドルは最も有力な準備通貨です。ほとんどの中央銀行では、大量の金と米ドルで外貨(60%以上)を保有しています。ユーロは、22%で2番目です。

2021年の予測: ユーロとドルからの予測1 

ブルームバーグによると、ドルは徐々にその地位を失いつつあり、世界で支払われるドルのピーク(45.3%)は2015年4月でした。現在、ユーロはSWIFT統計で、それほど多くはないですがドルのバイパスになっています。2020年10月、ユーロによる送金は37.8%、一方でドルは、37.64%でした。(イギリスポンドは、6.92%という大差で第三位です)。

弱い米ドル通貨ですが、ドルの穴埋めについて話すのは次期早々です。国際決済銀行(BIS)は、この夏、国際ローンと国際債券の約50%がドル建てであることを発表しています。最後になりますが、世界貿易での請求書は、アメリカ以外の貿易ですら、50%がドル建てです。

また、マーケットアナリストは、異なる通貨の強さを米ドル指数(DXY)で評価しています。つまり、ドルで価値を比較する6ヶ国通貨バスケットです。そして、このバスケットではユーロが57.6%でこのほとんどを占めています。(残りは5つで、わずか42.4%です)。

上記の統計でEUR/USD がFXの主要ペアの中で、第一位であることは明確です。ほかの通貨の主な動向を決めるのは、このペアです。そのため、すべてのトレーダーは、このペアに何が起こっていて、これから何がおこるか知る必要があるのです。

 

ちょっとした歴史

EUR/USD は、重要ですが驚くことにとても新しいです。1992年に欧州連合が創設されたことにより最初は現金ではない形式でしたが、1999年1月1日に公式に欧州通貨として表示されました。数年後の2002年6月には、当時、好まれていたドイツマルク(USD/DEM)に代わってユーロはユーロ圏での唯一の支払い手段となります。

この出来事の前に、その後のEUR/USD交換レートに影響を及ぼす二つの重要な出来事がありました。まず一つ目は、2000年後半の連邦準備制度による金利引き下げ、二つ目は、ニューヨークの世界貿易センタービルを含んだ歴史的な惨劇である2001年9月11日に起きた4つの協調テロ攻撃です。その結果、1ユーロは0.93ドルからはじまり、このペアは、2008年の半ばに1.60まで上昇しました。言い換えれば、ドルはユーロに対して70%以上、下落したことになります。

しかし、欧州中央銀行(ECB) はヨーロッパの輸出に関して重要な問題が生じ、貿易バランスに打撃を与えるためユーロが非常に強くなることを望んでいませんでした。そのため、市場に対して言葉による介入が始まりました。さらに、アメリカ経済の明るいニュースにより、EUR/USD は下落し、2016年12月末には21世紀で20年来の安値である1.032付近になりました。

そこで、多くのアナリストがこのペアに対し、1: 1のクイックパリティを予測しましたが、これは起こりませんでした。そして、現在、ヨーロッパ通貨は、1ユーロあたり1.22ドルあたりが相場です。 


2020年:  出来事

ちょうど1年前、専門家のEUR / USD に対する2020年予想がありましたが、今なら、それがどの程度正しかったか判断できます。

そこで、2019年の12月を振り返ってみると、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンなど多くの銀行のアナリストたちが2020年のドルの下落を予測していました。主な理由は、世界経済の伸び悩みです。それに加えて、大統領選前夜に、ドナルド・トランプ大統領から圧力を受けている連邦準備制度が金利を引き下げるか、あるいは、現状維持であると予測されたことです。

これらの予測は、非常に正しかったことが判明しました。2019年末、米ドル指数は、97あたりまで変動し、そして、12ヵ月後には90ポイントに下げました。利率も引き下がりました。:2019年12月―2020年1月は、1.75%でしたが、3月上旬には、1.25%に下がり、その後は、さらに0.25%に落ち込みました。

2019年12月は、中国の武漢で最初に発見された新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な大流行など想像していなかったことを思い出してください。しかし、それでも、ファイナンシャルタイムズでは、シティグループの専門家が連邦準備制度による量的緩和政策(QE)とドル安傾向の市場の引き上げは、ドルの下落になるという予測を発表していました。シティグループのアナリスト達は、スイスの銀行であるロンバード・オーリエや世界有数の投資会社であるブラック・ロックのアナリスト達からも支持されています。100%このシナリオ通りで、コロナウィルスのパンデミックは、このプロセスを促進しただけです。: この一年で既存のドルのほぼ4分の1が放出されています。

一部の陰謀説者は、コロナウィルスが金融エリートに安いドルを大量購入させるための極秘世界政府が意図的に計画したものとしています。しかし、このレビューは、あらゆる陰謀を暴露することではありません。そこで、特定の数値やどこの予想が最も正確であるかに戻ってみましょう。

ブルームバーグによると、最も大きなマーケットオペレータのコンセンサス予想では、2020年末までにドルは、さらに400-500 ポイント"下げる"としており、EUR/USDは、1.16 圏内に上昇することを支持しています。

JPモルガン・チェースの専門家は、2020年末のこのペアを1.14レベルに予測していました。ゴールドマン・サックスやバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは、1.15です。ドイツのドイツ銀行やフランスのソシエテ・ジェネラルは、1ユーロあたり1.20ドルのレベルでした。最後の2社の予測が最も正確でした。: このペアは、2020年末に1.225の高値に達しました。(これらの予測が新型コロナウィルスの影響を考慮していなかったことを思い出してください)。

 

2021年: 予測

専門家の中には、新型コロナウィルスが発症しているアメリカは、第三次大戦と比較できるとしています。:死亡者が300,000人以上、労働人口の1/3は、一定収入がありません。パンデミックは、10年という経済サイクルの終わりと大統領選の年の国を襲いました。また、ドナルド・トランプ氏によって始まった中国とヨーロッパの貿易戦争とドル供給の増加が、さらに経済に重くのしかかりました。

おそらく、2021年のお金は積極的にヨーロッパに流れ、ドルは、大幅下落に直面するでしょう。もちろん、アナリストによって米ドルの下落幅の測定は異なります。

たとえば、ゴールドマン・サックスが2021年の米ドルの加重レートを僅か6%にしている一方で、モルガン・スタンレーは、EUR/USDが現在の水準から1.25に上昇としています。(ちなみに、1.25の数字は、多くのほかの予測にもでています)。

しかし、米国通貨の大暴落を予期する人もいます。著名なエコノミストであるユーロパシフィックキャピタルの代表ピーター・シフ氏と前モルガン・スタンレーアジアの責任者であり、連邦理事会のメンバーでもあるスティーブン・ローチ氏は、50%の2021年の大暴落を予測しています。同時に、ローチ氏は、ドルの切り下げは35%に達するとしています。僅かに小さいですが、シティグループのアナリストが予想する20%の切り下げが印象的です。つまり、彼らの見解で、EUR/USDのペアは年末までに1.40-1.44圏内であると見ることができます。

ドルの下落はストップできるのでしょうか?

当然ですが、連邦準備制度の金融政策の引き締めです。今日の時点で、長期インフレ期待は、既に、規制当局の目標スレッシュホールドの2.0-2.5%にさほど遠くない1.85%に跳ね上がっています。このインフレは、ドルの下落に繋がります。ある時点で米ドルの大暴落を防ぐために連邦準備制度は、不本意ながら通貨安で経済を押し上げることを止め、基本金利の引き上げをはじめるでしょう。

ところで、ヨーロッパですが、おそらく、アメリカ以上にEUR/USDの上昇阻止について関心が あります。 

2020年3月中旬以来、ユーロは、ほぼ継続的にドルに対して強くなっています。ECBが年間€2.2兆以上発行し、マイナス金利を設定した事実にもかかわらずです。

ユーロが10%上昇すると、ヨーロッパ圏のGDPが約1%減少することを示す計算があります。そこで、シティグループの予測どおりEUR/USD ペアが、1.4まで上昇することをイメージしてみましょう。このような上昇は、ヨーロッパの輸出業に打撃を与えます。そして、誰が、急速に上昇しているユーロの価格で品物の購入をするのでしょうか?

ECBには、以前、ドルに対するユーロを弱めるチャンスがありました。 しかし、これは実現しませんでした:ヨーロッパ規制当局は、FX市場には介入せず、"交換レートの監視"のみに限定することを決めたのです。しかし、多くのアナリストによれば、1.25付近の上昇は、ECBにこの通貨のさらなる上昇を制限させる深刻な対応を余儀なくさせるであろうとしています。そして、近い将来、€2 兆あるいは €3 兆のEU経済への支援プログラムが採用されるでしょう。ヨーロッパをきっかけに、イギリス、カナダ、中国、そのほかの多くの国々の中央銀行が似たような措置を講じることになります。2019-2020が世界貿易戦争と呼ばれるなら、2021年は世界通貨戦争と呼ばれることになります。

とはいえ ... 私たちは、おそらく、同時に二つの戦争をみることになるでしょう。

Happy New Year, 2021! 非常に、おもしろくなりそうです!

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場での投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引は、リスクがあり、結果として入金した資金を全て失うことがあります。


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