April 9, 2022

EUR/USD: ドル高の3つの理由

  • 前回の予想では、ごくわずかな差でドル高支持者の勝利でした。アナリストの50%が上昇、その反対が40% 、10%が中立の立場でした。このような不透明さと差の理由は、市場が既に2022年のドルの利上げを相場に考慮していたように見られました。しかし、これにもかかわらず、米国通貨は上昇を続けました。DXYインデックスは 先週をとおして、およそ2% 上昇、 EUR/USD は、弱気派支持者の予想通り、1.0950-1.1000 圏内のサポートを突破、3月7日の安値1.0805を目指しています。事実、これは、まだ、達成できておらず、このペアは 1.0874で終了しました。

    では、なぜ、ドル高が続いているのでしょうか? これには、3つの理由があります。一つは、Fedの金融政策の引き締めが強くなっていることです。今、バランシートの縮小が話題ですが、米国政府は年間1兆ドル以上縮小する方針です。そして、これは2022-23にかけてリファイナンス金利を25ベーシスポイントずつ追加引き上げすることに相当します。米国債利回りも上昇して、ドルはさらに魅力を増すでしょう。

    二つ目と三つ目の理由は、大西洋の反対側、ヨーロッパ側にあります。フランス大統領選とウクライナへの紛争に対するロシアへの制裁です。

    フランスの第一回投票は、4月10日(土)に開催されます。フランスの野党指導者マリーヌ・ルペン女史は欧州懐疑主義派です。彼女が2017年にEU離脱と言ってもいいほどの呼びかけをしていたことに気づいてください。仮に野党が敗北しても、欧州連合へのマイナス要因となるでしょう。マリーヌ・ルペン女史が勝利なら、ユーロは明らかに上手くは機能しなくなるでしょう。一部のアナリストによれば、EUR/USD は1.0500もしくはそれ以下に下落する可能性があると分析しています。

    制裁に関しては、ロシアだけでなく、EUにも悪影響を及ぼすと何度も繰り返し述べてきました。まず、第一に欧州連合がロシアのエネルギーに大きく依存していることです。さらには、ロシアの化学兵器使用のリスクの高まりや軍事作戦がチェルノブイリの何倍にもなるといった大惨事可能性も加わります。

    来週の最も重要なイベントは、4月14日(木)のECBの会合とそれに伴う記者会見です。金利は据え置きのゼロとなる可能性が高いでしょう。しかし、投資家はヨーロッパ政府の内外の課題に対する計画についての動きを知りたがっています。

    ところで、45%のアナリストは、さらなるドル高の支持です。反対の意見が 35% で残りのアナリストの20%が中立の立場です。すべてのトレンドインジケーターとD1のオシレーターは赤ですが、オシレーターの25%は売られ過ぎを示しています。

    EUR/USD の弱気筋の直近のターゲットは、3月7日の安値1.0805です。もし、このサポートを突破すれば、 2020年の安値1.0635 、2016 年の安値1.0325を目指すことになります。

    強気筋は、1.1000水準を突き抜けて、1.1050のレジスタンスを克服、可能であれば1.1120-1.1137をつけることを目指します。次のターゲットは3月31日の高値1.1184。

    来週の経済指標カレンダーでは、欧州銀行の会合に加えて、4月12日(火)にドイツの消費者データーと4月12日と14日に米国消費者データーがあります。4月15日はアメリカやヨーロッパ諸国で聖金曜日のため休業日となります。

GBP/USD: Fedのタカ派とイングランド銀行のハト派

  • このペアの重要で非常に強いサポートが3月15日の安値(2021-2022の安値)である1.3000です。GBP/USD の下落の勢いは、これを突破して4月8日の米国取引時間に1.2981をつけました。イギリスを含めたヨーロッパのトレーダーは、躊躇しているようです。しかし、アメリカのトレーダーは欧州通貨を控えめに表現したとしても避けており、Fed会合のタカ派議事録や指導者の発言により、欧州通貨に圧力をかけ続けています。イングランド銀行側では、政府の最近のコメントが非常にソフトなため、市場はイングランド銀行の金融引き締め策が期待できるものかどうかという強い疑念を抱いています。

    反発後、取引終了の鐘は1.3031で鳴りました。 GBP/USD が、まだ、1.3000以下で固めることができるなら、2020 年11月の安値1.2850付近、その後、1.2700圏内の2020年9月の安値への道が開けます。この展開を支持するアナリストは35% だけです。残りの65%は、上値調整、そして、1.3050、1.3100、 1.3185-1.3215が レジスタンスとなり、その後は1.3270-1.3325 と1.3400。D1のすべてのインジケータでは EUR/USDと同じく、下向き、オシレーターの15% は売られ過ぎを示しています。

    来週のイギリスの経済指標カレンダーでは、4月11日(月)に同国のGDPや鉱工業のデーターに並んで4月12日(火)に小売売上高の公表に注目です。同日、イギリスの労働市場からの情報一式、4月13日(水)には消費者市場から情報の発表があります。

USD/JPY:日本人は円安に否定的 

  • 前回のレビューのタイトルは“125.09: これ以上は記録に反しない?” でした。一週間後、まだ、ないということができ、ないだろうと言えるでしょう。 そして、USD/JPY は、しばらくの間、上向きで、今回の局地的高値は124.67であり、 取引は124.36で終了しました。

    日本銀行の超緩和政策により、円は安値を続け、USD/JPY は3月28日に125.09という数年来の高値となり、2015年の高値125.86にさほど遠くありません。

    今週、日本の経済状況に関する重要な統計発表の予定はありません。唯一の注目は、13日(水)にある日本銀行の黒田東彦総裁の発言です。しかし、センセーションを引き起こしそうもありません。もっとも、ここでは、円安を背景に日本銀行が7月に金融政策の調整をするかもしれないとした前調査統計局長の早川英男氏の発言を考慮に入れる必要があります。“日本銀行は円安が経済全体にプラスの影響を与えると何度も繰り返していますが、実際のところ、この影響は50/50といったところであり、日本のインフレ率が上がれば、国民の不満も増えていきます”と4月8日に早川英男氏は述べています。同氏の見解では、"政府が価格上昇やガソリン価格の制限といった問題解決の調整をしているのに、円安がいいというには甘すぎます"。

    ラボバンクのストラテジストは、USD/JPY が125.00 以上に急上昇すれば、日本政府も量的緩和政策(QE) を調整する可能性が非常に高まると述べています。

    現時点では、125.00-125.09付近のレジスタンスを再度、試すとした確率は50%といったところです。しかし、週間予想から4月後半と5月の予測になると、アナリストの大半(85%) が115.00-117.00 圏内の円高予想です。

    D1のインジケーターに関しては、前述の二つと同じで完全一致: トレンドインジケーターの100% とオシレーターの100% が上向きで、オシレーターの25% が買われ過ぎ圏内。このペアの大きなボラティリティで、123.65-124.05、122.35-123.00、121.30がサポートとして確認されます。続いて、120.60-121.30、119.00-119.40、118.00-118.35が控えています。

暗号資産: 調整、それとも、新たな崩壊のはじまり

2022年4月11日‐15日のFXと暗号資産の予想1

  • 4月1日(金)、アルゴリズムによる供給量2,100万ビットコインのうち、1,900万ビットコインのマイニングの記録に到達しました。つまり、マイニングできる量は、残り10% 以下です。これだけです。考案者(クリエーター)により生み出されたビットコインは非常に希少な資産となり、価格はさらに押し上げられています。これは、多くの市場参加者が期待していることです。

    最近、デジタル資産の蓄積傾向が続いています。グラスノード社のアナリストは、 “クジラ”に加えて、いわゆる“エビ” (1 BTC以下の残高のアドレス) も蓄積していることに注目しました。1月22日の安値以来、クジラやエビは市場供給量の0.58%を蓄積しており、その割合は14.26%にもなります。

    蓄積量が排出量の何倍にも上回り始めました。グラスノード社によると、中央集権型プラットフォームからの流出率が一ヵ月あたり96,200BTCと増加しており、歴史的にも非常に珍しいことです。取引所残高は2018年8月の水準まで減少、2021年9月以降観測された安定期を打ち破りました。蓄積傾向にあるビットコインアドレスのビットコイン数は2021年12月4日以来、217,000 BTC の増加で、2,854,000 BTCを記録しました。 表示された数量を基にすると、一日あたりの蓄積数は1800 BTCであり、排出量の2倍です。

    この傾向は分析会社のIntoTheBlockのレポートで確認されています。このレポートによると、長期投資家のウォレットにあるコインの総量は2022年第1四半期に過去最高の1200万BTCに達して5510億ドル以上の価値があることが判明しました。 “これは、蓄積段階を示しており、価値の貯蔵としてのビットコインの信頼性を高めるのに役立つ” という見方をIntoTheBlockはしています。

    投資会社のVanEckのアナリストはビットコインについての素晴らしい予想をしています。 アナリストの計算によれば、暗号資産が世界的な準備資産となれば、ビットコインの価格は480万ドルに達する可能性があるとのことです。このような予想はM2マネーサプライを考慮したものであり、つまり、流通している通貨と非通貨資金の合計です。また、より低い範囲。- M0での計算だと1 BTCにつき130万ドルであり、非通貨資金を含みません。

    VanEck アナリストは、この予想がありえそうにないシナリオの一つでのビットコインの可能な価格を見積もりたい投資家の第一歩として役立つことのみを意図していると警告しています。同時に、予想者によれば、世界の準備通貨の基軸はビットコインではなく、中国人民元です。

    悪評の高い暗号資産のファンたちですら、1コインあたり数百万ドルという金額には、まだ限りなく遠いということを知っています。しかし、予見可能な予想については、いくつかのものは、かなり楽天的のようです。つまり、ギャラクシーデジタルのマイケル・ノボグラッツCEOは、新規の投資家とイノベーションの到来、政治と経済の成長、政府によるビットコインの受け入れで2022年のビットコインの予想が改善するとした見方をしています。 “当初、私は価格が$30,000 から$50,000の不安定な年であると言っていました。しかし、市場での取引方法、新規の投資家、イノベーション、Web3やメタバースの発展を考慮すると、より楽観的になりました。つまり、暗号資産が2022年の年末までにかなり上昇したとしても驚くことはないでしょう”とビリオネアは述べています。

    同氏の意見によると、誰もが今の私たちの世界が非常に不安定のため、ビットコインの受け入れは続くとしています。“ビットコインは、ヨーロッパとアメリカがロシアとの金融の流れを遮断した時に新しい歴史を書きはじめました。ウクライナへの武力紛争が高いインフレ圧力を生み出して、リスクや不安を増やし、暗号資産投資家に自信を与え、デジタル資産の普及を加速させました” とギャラクシーデジタルのCEO は述べています。

    元ゴールドマン・サックス社員で、現在リアル・ビジョンCEOであるラウル・パル氏も同様の見解です。同氏は、ポッドキャストのMetaLearn で世界はビットコインの受け入れの新しい波の前であり、市場のさらなる下落は、この上昇に効果的です “と述べています。ソブリン状態である特にウェルスファンドは、ある程度の安全性のある長期資産を探し始めるでしょう。そのため、ビットコインは研究され、さらに受け入れられるでしょう。- 通貨としての必要性ではなく、資産としてです。とても興味深い解決策:担保準備資産の保護としてのビットコインの世界的な使用"。

    ラウル・パル氏によれば、マクロ経済の状況からして、また、ビットコインが売られる状況は非常に低いと考えられています。つまり、多くの市場参加者が長期戦略に徹して、暗号資産の積極的な取引はあまりないということです。

    しかし、デジタルゴールドは3月28日に$48,156の高値をつけた後、上昇が止まりました。強気筋は、BTC/USD を200日移動平均線より押し上げることができず、この執筆時点の4月8日の夕方では$43,000付近での取引です。市場時価総額は、この1週間で2兆1400億ドルから1兆985億ドルに減少して、重要な心理的水準である2兆ドルを下回っています。Crypto Fear & Greed インデックスも中立の50から37ポイントに下げており、既に、恐怖に入っています。

    有名なアナリストでトレーダーのCheds は、上昇サインとして1月24日からのアセンディングトライアングルが表示されていると述べています。同氏が言うには、このようなトライアングルは、通常、上昇が継続するパターンです。そして、上昇傾向を突き抜ければ、 “測定可能な推移として、$56,000 から $58,000がトライアングルの高さになります”。

    同時に、アナリストは投資家にこのテクニカルインジケーターが現在、レジスタンスの役割をしているため、200日移動平均線に目を光らせるようにアドバイスしています。Chadsは、強気派がBTCを$45,000以上に維持できれば 、さらに26%上昇するためのSMA-200レジスタンスを突破する準備ができると考えています。または、強気派が売り圧力のリスクに直面します。

    前述どおり、 BTC/USD は、現在$43,000での取引でChedsのサポートを下回っています。しかし、ビットコインのボラティリティで弱気筋の勝利は、まだ、確定していません。下向きに突破することは疑わしいかもしれません。さらに、ビットコインは独立したものではなくなっています。10,000 BTCでピザが2枚買えた2010年では、それなりに独立していました。今では、成長して、世界経済の一部です。ビットコインは、今、S&P500とほぼ完全な循環相関を示しており、最近では0.9を記録しました。そして、米国株式市場の後で下落します。後者は、世界的な投資家のリスク選好次第となります。

    リスク資産への強い欲求が回復すれば、暗号資産市場も上昇します。そうでなければ、一部のアナリストによると、BTC/USD は、1コインあたり3月の安値である$37,000 付近までの下落が予想されます。相場がさらに下落して、$30,000になる可能性もかなり高くなります。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの内容は金融市場への投資推奨やガイドラインではなく情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクが伴うため投資した資金を全て失う可能性もあります。


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