August 7, 2022

EUR/USD: 米国から予想外の好材料

  • EUR/USD は、およそ3週間、1.0100-1.0270での横ばいの流れでした。 抵抗線や支持線の突破は、毎回、失敗に終わっています。夏休みのせいでしょうか?おそらく、米国からの 想定外の経済統計や市場を混乱させた曖昧な見通しのせいでしょう。

    8月1日(月)に発表された製造業景況感指数(ISM) は予想の52.0 に対して52.8、予想外に上回りました。8月3日(水)のマークイット社のサービス業景況指数は、47.0ポイントに対し47.3ポイントの上昇でした。米国の公的機関(ISM) からの同様の指標も56.7 ポイント(一ヵ月前は55.3 、予想 53.5)で上昇を示しました。エネルギー価格の高騰やFRBの積極的な利上げにもかかわらず、安全が非常に保護され米国経済のすべてが、それほど悪くないということが判明したのでしょうか?

    7月27日に開催された米連邦準備制度理事会のFOMC(連邦公開市場委員会)で、主要政策金利がさらに75ベーシスポイント(bp)に引き上げられたことを思い起こしてください。FRBのジェローム・パウエル議長が会合の終わりの発言で規制当局がタカ派的立場のままであることを説得しようとしていました。また、FRBは必要に応じて利上げのペースを早めることができます。しかし、市場はパウエル議長を信用せずに株式市場に向けたFOMCの会合結果に反応しました。

    専門家の中には米国のインフレのピークが既に過ぎ去ったことについて認めない人もいます。上昇の原因は、上記で述べたとおり、エネルギー価格の高騰です。しかし、コア消費者物価指数は高い水準でありながらも、3月以降、既に0.6% に下落しています。

    労働市場も堅調です。米国の失業率は 3 月以降 3.6% を維持しており、非常に良い感じです。そして、7月にはさらに減少、3.5%となりました。また、8月5日(金)に発表されたNFPのような重要な指標である米国非農業部門新規雇用者数は予想の250,000人に対して実際は528,000人でした。なお、1ヶ月前は37万2000人だったにもかかわらずです。

    ジェローム・パウエル議長は、労働市場や経済の多くの部門がかなり好調であるため、景気後退はないと考えていると述べました。そして、景気後退リスクよりも、高いインフレが続くリスクの方が大きいとのことです。しかし、インフレ率が下がり、GDPが納得できるようなプラスの推移を示さなければ、FRBの金融緩和へと向かう可能性があります。以前に予想された政策金利は金融規制の結果、年内までに3.4%、2023年の終わりには、さらに高い、3.8% への上昇ということでした。市場は現在、FOMC が 9 月に 0.75% ではなく 0.50% の利上げを行う可能性があること、11 月には利上げを完全に停止して2023年の量的緩和 (QE) プログラムの再開に対して準備をしています。

    最新のデータによると、米国の経済状況は予想より良さそうですが、欧州では確実に悪化しています。ドイツの小売売上高は、年換算でマイナス8.8%である一方、前月はプラス1.1%でした。全体としてのユーロ圏の状況は同じように悲観的です: 同じ指標では、+0.4% から-3.7% (予想-1.7%)に減少です。これは、近い将来、人々を待ち受けていることに対して理解が欠如しているためです。人々は特にロシアからのエネルギー供給の問題によるさらなる価格高騰を心配しています。また、ロシアとウクライナの紛争がEUに深刻化することも楽観できません。ロシアの核兵器使用の恐怖について話題にする必要はありません。

    8月5日(金)の米国の労働市場からのプラスのデーターの発表の後、ドルはやや上昇してEUR/USD は1.0180で5日間の取引を終了しました。一週間前と同じでアナリストの45%は1.0100-1.0270の下値支持線を突破する方向を支持したままで、45%が上向き、 10%が  横ばいを示しています。D1のオシレーターについては、25% が弱気で60%が強気、そして、15%が中立の立場です。トレンドインジケーターではシグナルが明らかになっています: 90%が下向き、10% が上向きです。

    EUR/USD の直近のサポートは、1.01500 、それから、1.0100-1.0120、そして、もちろん、1.0000 水準です。これを突破すると、弱気筋は7月14日の安値0.9950、もしくは、これより下回る2002年の強いサポート/レジスタンスの0.9900-0.9930をターゲットにします。強気筋の次の重要な課題は、1.0200のレジスタンスを突破して、その後、1.0250-1.0270 に上昇することです。次のターゲットは、1.0400-1.0450圏内、その後は、 1.0520-1.0600 と1.0650-1.0750 です。

    今後のイベントとしては、8月10日(水)の米国消費者市場(CPI)のデーター公表に関心が集まるでしょう。これに、木曜日と金曜日に追加があります: 8月11日 – 生産者物価指数 (PPI) 、8月12日 – 米国のミシガン大学消費者信頼感指数。ヨーロッパからのニュースについては、ドイツの消費者物価指数が8月10日発表されます。

GBP/USD: イングランド銀行: センセーショナルなことはありませんでした。

  • 今週の大きなイベントは、8月4日(木)のイングランド銀行の会合であったことは間違いないでしょう。可能性はありましたが、実現しませんでした。投資家の中には規制当局が必至になり、一気に150 bp を引き上げに踏み切ることを期待していた人もいました。この場合、現在のドル金利(2.50%)より、イギリス通貨高の支持が重要な議題となります。しかし、センセーショナルなことはありませんでした。イングランド銀行は50 bpの金利引き上げで、以前から市場が考慮していた相場の1.75%でした。

    イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)の議事録も、かなりつまらないものでした。9人のメンバーのうち、誰かが75 bpを望めば、ポンドにとってプラスに転じていたでしょう。また、逆であれば、: イギリス通貨にさらなる圧力となる25 bpだけの引き上げを望むことになります。 しかし、議事録で明らかになったように、9人のメンバーの全員が50 bpちょうどの利上げ支持でした。

    修正された経済予想は、かなり暗いもので、イングランド銀行の運営陣の会合後の発言は、かなり漠然としたハト派的なものでした。イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁によれば、今回の50bpの利上げが、その後の会合でも同じようになるとは限らないとのことです。アンドリュー・ベイリー総裁は、“金利は金融危機以前の水準には戻らないだろう” と述べています。 “また、今後、通常の金利がどうなるかはわからない” ということをイングランド銀行のチーフエコノミストであるヒュー・ピル氏が"均衡金利が非常に不透明である"と遠回しに述べて付け加えました。

    基準が見当たらないため、GBP/USD は1.2064 と1.2214の間での推移、8月4日はこの範囲の中央に戻りました。金曜日には、労働市場からのニュースで1.2000の強いサポートまで下落、1.2070での取引を終えました。

    アナリストの3分の1は、この1週間はポンドにとって、いいことがなかったので下落が続くと見ています。反対の見方も3分の1で、中立の立場も3分の1になります。D1インジケーターは次のとおりです。 トレンドインジケーターでは90% 対10% の割合で赤が支持されています。オシレーターでは35%だけが弱気、 25% が上昇、40% が中立の立場です。

    直近のサポートは、1.2000-1.2025水準、その後は、1.1875-1.1925が控えています。その下は 1.1800、7月14日の安値1.1759、それから、1.1650、1.1535 2020年の3月の安値圏1.1400-1.1450となります。強気筋に関しては、 1.2100-1.2130、 1.2170-1.2215、1.2245、1.2280-1.2325、1.2400-1.2430でレジスタンスに直面するでしょう。

    イギリスからのマクロニュースについては、来週の8月12(金)に注目が集まるでしょう。イギリスのGDPと製造業生産高のデーター発表があります。

USD/JPY: 大きなボラタリティ、中立的な見通し

  • チャートを見ると、134.60-137.00という範囲が USD/JPY の強気筋と弱気筋ともに非常に魅力的です。6月中旬から7月上旬にかけての取引が先週末に戻りました。8月1日に133.31で始まったペアは、翌日には、130.37 の安値をつけました。その後、反転し、ドルは積極的に取り戻しはじめました。その結果、終値は135.00でした。

    日本通貨の見通しについては、これまでのペア同様、専門家の見方は、かなり中立的です。45% は新たな上値更新を期待しており、45% は下落トレンドの継続を願い、残りの10%は横ばいの見方です。D1インジケーターでは、状況はやや異なっています。 トレンドインジケーターでは、85%対15% の割合で緑が支持されています。オシレーターでは反対です: 60% が上向き、40% が横ばいの一方で、下落トレンドを示しているは0%です。

    このペアのボラタリティは非常に大きいため、下落の可能性やサポート/レジスタンスの幅が急拡大しています。サポートは、134.75、134.25、 132.60-133.15、131.50、130.40、128.60、126.35-127.00。 レジスタンスは、136.35-137.00、137.45、137.90-138.40、138.50-139.00、これに続いて、7月14日の高値139.38、強気筋の大きなターゲット 140.00と 142.00。

    今週は日本経済に関する特に大きなイベントはありません。唯一覚えておきたいのは、8月11日(木)が山の日で祝日ということです。これは、最近できた祝日です; "山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する" ことを趣旨とした環境団体や観光団体の意見により2014年に制定されました。

暗号資産: インフルエンサーたちが語るとても長い春

2022年8月8日‐12日のFXと暗号資産の予想1

  • ビットコインは6月18日に $17,597まで下落、 2020年の12月の水準に並び史上最高値の$68,918からおよそ75%下落です。BTC/USD はその瞬間からゆっくりと上昇して、7週にわたって一連の安値と高値を示しました。さらに、このペアのボラティリティは徐々に大きくなりました: 当初は$3,150前後でしたが、7月末には$4,000 を超えています。

    6月18日の出来事以来、この1ヵ月半議論はおさまりません: ビットコインは底を打ったのか? または、暗号通貨の冬の真っ只中で、本来の寒気はまだ到来していないのか? 

     この執筆時の8月5日(金)夕方、暗号市場の時価総額は1兆8900億ドル(1週間前は1兆9800億ドル)、Crypto Fear & Greed インデックスは、恐怖のままで31ポイント(1週間前は39 ポイント)です。 BTC/USD は、$22,900 圏内で取引されています。

    Arcane Research アナリストによると、ビットコインは$20,700 水準を維持、価格は直ぐにでも$27,000-$28,000の範囲になるでしょう。しかし、 “ビットコインが$20,700を下回れば、安値をつけるでしょう。これは、テクニカル分析の観点からは弱気のシグナルです” 。Arcane Researchは、ビットコインの価格と密接な相関関係にある米国株式市場の動きに大きく左右されると強調しています。FRBの政策金利の動きも大きく関与してきます。“金利上昇で資本コストは増加するため、株価は下落します。テクノロジー株価の下落が最も大きいです。制度化が進むにつれて、ビットコインは従来の金融市場と密接に関連するようになりました” と専門家は説明しています。専門家によれば、株式市場の下落が続けば、デジタル資産の下落トレンドが続きます (なお、S&P500は重要なサポート/レジスタンス圏内の4.100-4.150で現在、取引されています。しかし、ゴールドマンサックスによると、 米国の株式市場では別の大きな売りへと向かっています)。

    グラスノードも、ビットコインの回復の勢いが続くかどうかについて確信を持っていません。最近のビットコインとイーサリアムの価格上昇がオンチェーンインジケーターでのファンダメンタルな上昇と伴っていないからです。また、これは市場状況の根本的な変化を確信させるものではないという見方を同社のアナリストはしています

    アクティブなビットコインアドレスの数は、下降トレンドで推移です。降伏期間での一時的な高まりを除いては、アクティブなネットワークは少ないままです。これは、新たな需要が少ないことを示しています。イーサリアムブロックチェーンでも同じようなことが見られます。最近の力強い価格変化にもかかわらず、取引数に関するネットワークロードは2021年5月から2020年の夏以来の水準までに体系的に減少しています。

    ここ数週間、アクティビティが急増しており、アナリストはウォレット内のコインの調整と関連付けています。この傾向の持続が証明されるなら、見方を変えるだろうと説明しました。グラスノードのアナリストは、以前、安定した基盤をつくるには時間がかかるだろうと警告していました。これは、URPDのような長期的な指標によって証明されています。相場反転するチャンスを増やすには、投機コインが“長期間投資家によって保有” (言い換えるなら、コインが購入から155日以上“経過” していることが必要)のカテゴリーへの移行することが重要となります。.

    バンク・オブ・アメリカは、暗号資産プラットフォームからコールドウォレットに引き出されたビットコインは~ 5億800万ドル、イーサリアムは~ 3億8100万ドルと推定しています(7月2日から8月1日までのデーター)。この間、前者は19%、後者は 56%上昇しています。しかし、こちらの銀行のアナリストの見通しは、グラスノードより楽観的です。つまり、両者の意見としては、取引所からの暗号資産の引出の増加とステーブルコインへの正味の流入の増加は強気な市場の勢いを示すものだと考えているのです。同時に、バンク・オブ・アメリカは“売り圧力の緩和” とデジタル資産の買い主導であることを指摘しました。また、FRBが7月27日に主要金利を0.75%引き上げたにもかかわらず、このトレンドが維持されていることに注目しています。

    トレーダーで投資家のボブ・ルーカス氏は、暗号資産コミュニティの多くの人と同じく、半減期が市場トレンドを動かしているといいます。次は2024年にブロック番号840,000で予想されています。ボブ・ルーカス氏によると、ビットコインが史上高値をつけた後、デジタル資産市場が2026年に“本当の暗号資産の冬”に入る可能性があるといいます。

    同氏のモデルでは、ビットコイン市場の動きは、4年ごとの4つのマイクロサイクルからなる16年周期で測定が可能となります。この場合のサイクルは、安値から別の安値まで測定する必要があります。 “信じがたいことですが、ビットコインの2026年の安値は2022年の安値よりも下がる可能性があります” と同氏は述べています。

    Morgan Creek Digitalのマネージングパートナーであるマーク・ユスコ氏はビットコインに投機的なサイクルがあるという考えに同意しています。同氏の見解では、BTC は、現在、サイクルの中の"春" であり、2024年の半減期直前の次の強気相場にあたる"夏"の準備をしています。 “私の考えでは、暗号資産の春はじまっています”とユスコ氏は記述しています。"過去2回のサイクルを見ると、春のはじまりと冬の終わりのサイクルが同じ日数であることがわかりました。暗号資産の春は、数ヶ月続く可能性があるため、今すぐに強気相場になる必要はないのです。暗号資産の夏になれば、次の強気相場を見ることになり、これは次の2024年の半減期を見据えて起こるはずです。”

    Morgan Creek Digital のCEOによると、ビットコインの現在の仕組みでは、底打ちのプロセスを示しています。 “底を打ったかどうかについては、今のところ明確にすることはできません”と投資家は述べています。 “しかし、振り返ると、ビットコインが幾度となく高値や安値をつけていることがわかります。 […] これは、かなりの強気トレンドで暗号資産の春の可能性があります”。

    マーク・ユスコ氏もビットコインの価格が偏っていると考えています。同氏の考えでは、$18,000に下落するというアナリストの予想にかかわらず、現時点でのビットコインの "公正価値"は$30,000 前後であり、2026年までには$250,000 に急騰するとのことです。

    SkyBridge Capitalの創設者でありマネージングパートナーでもあるアンソニー・スカラムッチ氏は、マーク・ユスコ氏と同じく、Three Arrows、Celsius、Voyager の破産によって引き起こされた崩壊で暗号資産部門の最悪の “弱気”な事態が終わったと考えています。なお、2026年を挙げて、デジタル資産の投資期間は少なくても4、5年であるべきだと警告しています。ビットコインの “公正価値”については、現在、 $40,000付近であると同氏は考えています。

    もう一人のトップマネージャーであるPantera CapitalのCEO、ダン・モアヘッド氏も同様の意見です。ほかの人たちと同じく、デジタル資産は、ほぼ底打ち状態であると考えています。まだ、裁判所で破産による清算手続きをしている企業もあります。しかし、この業界に圧力をかけていた5月と6月は、債務不履行が既に最も多発していた時でした。 “市場の崩壊は、ほぼ終わりかけていると思います。市場は、8ヵ月下落を続けています。11月、5月、6月に最も深刻な危機の兆しを見てきました。見るべきものは全て見たようです” とPantera CapitalのCEOは述べています。

 

NordFX Analytical Group

 

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