August 20, 2022

EUR/USD: 1:1 パリティに戻る

  • EUR/USD は3週間以上1.0100-1.0270での横ばいです。 上も下も境界線の突破は毎回、失敗に終わっています。この動きは8月10日まで続き、米国のインフレデーター発表後、このペアは急騰して1.0270水準のレジスタンスからサポートに変わりました。しかし、強気筋の喜びは束の間でした。わずか2日後には、流れは戻り、8月18日(木)に下値抵抗線を突破して1.0039で今週の取引を終えました。

    つまり、ほとんどのアナリストの予想どおり、ドルユーロは、また、1.0000のパリティに近づきました。 このペアの次の下落への反転には主に二つの理由が説明できます。一つは、市場リスク選好が低くなっていることです。ヨーロッパのインフレやエネルギーの危機的局面は高くなっています。7月の消者物価指数(CPI) は、年率換算で8.6%から8.9% へ上昇でした。つまり、ウクライナ侵攻を理由としたロシア制裁によるエネルギー危機は今のところ糸口が見つかりません。中国経済についても明るくはありません: 鉱工業生産高(前年同月比)は、先月の3.9% から 3.8% へ減少、予想の4.6%を大きく下回りました。小売売上高も3.1%から2.7%(予想の5.0%に対して)に減少でした。このような状況から中国人民銀行は人民元の基準貸付金利を3.70%から2.75%へと大幅に引き下げました。

    二つ目は、米国の明るいマクロ経済統計とこの国の経済力に対する投資家の信頼です。現在、労働市場やインフレ状況がFRBの金融政策を決定する主な"クジラ"であることは知られています。米国の失業率は3月以降、3.6%を維持しており非常に良い指標です。また、7月はさらに低い3.5%でした。NFPのような重要な指標である非農業部門新規雇用者件数は、予想の250,000に対して実際は528,000です。前月が372,000だったにもかかわらずです。インフレ率についても、こちらもかなり良い数字です。0.2%予想の7月の消費者物価指数(CPI)は、0.0%の水準に低下しました (前月1.3%)。 年率換算では9.1%から8.5%(予想8.7%)に低下です。ベースCPIは予想の0.5%に対して、7月はわずか0.3% (前月0.7%)の上昇でした。

    これらの数字はFRBが立ち上げた戦いにより低下しています。もちろん、最終勝利ではありませんが、米国の中央銀行の成功は明らかです。したがって、いくらか金融政策を緩和したところで、この2ヶ月のような積極的な利上げはないかもしれません。この理論はドルに働き、8月10日にEUR/USD を1.0368に押し上げました。しかしながら、すべてがすぐに正常に戻りました。FRBのジェローム・パウエル議長は規制当局がタカ派のままであることを説明しています。市場は8月17日(水)に公表されたFOMC(連邦公開市場委員会)の7月会合議事録からも同じ結論を導き出しています。

    米国の中央銀行はインフレ率を目標水準の2%に引き下げるため、2022年末-2023年初めまでに現在の2.5%から4.0%、さらには、5.0%の利上げの可能性が予想されています。これは、長期的にかなりのドル高になることを意味します。この予想が再びUSD DXY インデックスを押し上げました。これに続いて、米国債やほかの先進国の株式が伸びはじめ、株式指数(S & P500、ダウ・ジョーンズ、ナスダック)、暗号資産などのリスク資産を押し下げました。利上げとドルを信頼する投資家は、金のような保護資産の処分をはじめました: XAU/USDの相場は先週を通じて下落しました。

    EUR/USD の当面ですが、この執筆時である8月19日の夕方は、15%のアナリストのみが上昇、25%はもう少し下落することに支持、残りの60%は予想を控えています。D1 のインジケーターでは、より明確なシグナルを示しています。トレンドインジケーターとオシレーターともに100%が弱気筋側です。しかし、後者の3分の1は売られ過ぎのシグナルを示しています。

    1.0030のサポートは別としてEUR/USD の直近のターゲットは、もちろん、1.0000 水準。これを突破すれば、弱気筋のターゲットは、7月14日の安値0.9950、さらに下の強い2002年のサポート/レジスタンス圏内の0.9900-0.9930。強気筋の直近のターゲットは、1.0070-1.0100に戻り、その後にレジスタンスの1.0120、 1.0150-1.0180、1.0200、1.0250-1.0270 が控えています。より長期的なターゲットは、1.0400-1.0450、1.0520-1.0600、1.0650-1.0750。

    今後のイベントとしては、8月23日(火)にドイツおよびユーロ圏の製造業PMIの発表が予定されています。米国の耐久財・受注は翌日になります。8月25日(木)はすべてのイベントが出揃います。まず、ドイツの第2四半期GDPのデーターです。次に、金融政策に関するECB会合の議事録です。そして、最後に現在のドルの動向に深刻な影響を与えるかもしれない米国の4つの重要なイベントです。8月25日は第2四半期GDPと失業率のデーター、"FRBのお気に入れのインフレ指標"と呼ばれている個人消費支出指数 (PCE)は8月26日に公表されます。これらのすべての統計発表は、8月25-27日のジャクソンホールで毎年開催される経済シンポジウムと同時期になります。米国の金融当局が経済の最重要課題を議論するので、これらの指標が影響を及ぼすのは確かでしょう。

GBP/USD: ポンドへの厳しい見通しが現実味を帯びてくる

  • 米連邦準備制度理事会がさらなる急激な利上げ傾向を示すとGBP/USD は、また、急落しました。セントルイス連邦準備銀行のジェームズ・ブラード総裁やサン・フランシスコ連邦準備銀行のメアリー・デイリー総裁などの発言でさらに加速しました。総裁たちのタカ派的な態度から、9月のドル金利はおそらく3回連続で75ベーシスポイント(bp)引き上げられるという結論に結び付けることができます。同時にカンザスシティ連邦準備銀行のエスター・ジョージ総裁は、規制当局はインフレが低下傾向にあると完全に確信するまで金融を引き締めるであろうと発言しています。

    米国政府関係者の発言により、GBP/USD は5日間で1.2135 から 1.1791 に 344 ポイント下落、やや高い1.1830で今週の取引を終えました。イギリスの7月小売売上高 が予想外に0.3%の伸びでしたが、ポンドの支えにはなりませんでした。イギリスの買い物客はオンライン販売の促進により予想以上の消費でした。残りのマクロ統計は微妙です。平均賃金は4.5%の予想が5.1%となり、失業手当の申請件数は前月の28.8万件から10.5万件に減少しました。しかし、労働市場の改善にもかかわらず、イギリスのインフレは予想の9.8% を上回った10.1% でした(前月9.4%)。イングランド銀行の予想では、イギリスの景気後退はおそらく第4四半期に始まり、1年以上続く可能性があります。

    GBP/USD は、この5週間で最安値水準に下落、アナリストの30%は下落が続く可能性があるとしています。上昇調整もまた、アナリストの30%が予想しており、残りの40% は中立の立場です。D1 インジケーターはEUR/USDと全く同じです: 100% が赤である一方、オシレーターの30%が売られ過ぎのシグナルです。 直近のサポートは1.1800に続いて、7月14日の安値1.1759、そして、1.1650、1.1535、 2020年の安値圏内 1.1400-1.1450。強気筋については、1.1875-1.1925、1.2000、1.2050-1.2075、1.2160-1.2200、 1.2275-1.2325、1.2400-1.2430でレジスタンスに直面するでしょう。

    イギリスの経済統計については、8月23日(火)に製造業、サービス業並びにイギリスの両部門の購買担当者の活動水準を反映させるコンポジット・インデックス (PMI)が明らかになります

USD/JPY: 日本のGDP増加で円下落

  • 主要6通貨に対する米ドルの比率を示すDXYインデックスの上昇に並んで米国債の上昇はUSD/JPYの推移に明らかに影響を及ぼします。133.45で始まり、週高値は137.22、週の終値は 136.81でした。

    8月15日(月)に発表されたデーターは、日本銀行による金融引き締めの見通しをさらに不透明にするものでした。世界3位の経済が第1四半期に0.1%のマイナス成長となったものの、第2四半期には0.5%(予想の0.6%よりやや低い)の安定した成長を示しました。年率換算で+2.5%増の日本経済は、実際には2.2% (前四半期は-0.5%減)の伸びでした。

    GDP は国の経済の成長や衰退を評価する市場の主な経済指標です。通常は、成長が自国通貨のプラスになる強気材料です。しかし、一般的に通貨の金利の大きさが魅力となるのは近頃だけではありません。この点では、円は米ドルに大きく遅れをとっています。

    国際的な金融グループであるNordeaのエコノミストによると、 “FRBの金融引き締め政策の継続は、G10のほとんどの中央銀行と同じように、円に圧力をかけるでしょう。[…] 日銀の金融政策に当面変更が期待できなければ、日本円がドルに対して140円の扉を再び開くことになるでしょう” 。一方で、オーストラリアのWestpacの銀行のストラテジストによると、長期的には2023年末に123.00 下落する可能性があります。

    目先の平均予想では次のとおりです: 20%のアナリストが上昇、35%が円高で下降トレンドへ戻り、残りの45%が横ばい支持です。D1 のトレンドインジケーターでは100%が上向きです。 オシレーターについては、90%が同じ向きですが、 25%が買われ過ぎ圏内です。 オシレーターの10% は横向きを指しています。このペアのサポートは135.55-136.00、134.00-134.25、132.85-133.00、131.75-132.00、 131.00。 レジスタンスは、137.45、137.90-138.40、138.50-139.00、最終は7月14日の高値139.38。強気筋の次のターゲットは140.00 と142.00。

    今週は、日本経済に関する重要な統計は発表の予定はありません。

暗号資産: スポーツカーのブガッティは1 BTC: 夢それとも現実?

2022年8月22日-26日のFXと暗号資産の予想1

  • 暗号資産コミュニティでの多くの疑問は、おそらく大きく2つに分けられます: 1) サトシ・ナカモトは誰? と2) ビットコインの価値はどのくらいになるのか? 一つ目の答えは、ビットコインの開発者の人物像とミステリアスに消えたことに迫ったドキュメンタリー映画の制作開始を発表したWhite Paper フィルムで明らかになるでしょう(ちなみに、NordFX ウェブサイトで、このテーマについてのとてもおもしろい情報があります)。2つ目については、いつもどおり、ウィークリーレビューでご覧になれます。

    まず、ビットコインの急騰をお待ちの人々には朗報があります。グラスノードの新しい調査では暗号資産市場の下落にもかかわらず、ビットコインネットワークの使用は増え続けています: ユニークアドレス数は現在、10億を超えています(ちなみに: BTCの競争相手であるイーサリアムは1億5800万アドレスでかなり大きく差をつけています)。

    好材料No.2. Arcane Researchよると、マイナーが7月に6,500 BTCを売却しました。これは、14,600コインが売却された6月に比べ、60%少なくなります。暗号資産市場の下落は借入金で生産力を高めたマイニング企業に多くの重大な課題を引き起こしました。危機に直面して、返済のために低価格でマイニングしたコインを投げ売りしなければなりませんでした。最終的に十分な資金で生き残れた企業がある一方で倒産してしまった企業もあります。

    7月のデーターで業界が回復したというわずかな望みが与えられ、マイナーのプレッシャーは小さくなっています。マイナーは上昇を期待してコインを保持しています。しかし、Arcane Researchは 6,500ビットコインはマイニングしたよりも多くのコインを売却してショックを与えた5月よりも、まだ、多いことを指摘しています。

    好材料No.3. 多くのテクニカルインジケーターは継続的な上昇に向かってビットコインが反転する可能性が高いシグナルを示しています。つまり、Spent Output Profit Ratio (SOPR) の指標が2022年6月18日に最低を記録しました。この指標は、2018年12月と2020年3月にだけ低い値を示しています。ほかの指標では、RHODLの指標が短期的な投資家よりも長期的な投資家の方が、かなり優勢であることを示しています。つまり、ホルダーはコインの売却の予定がなく、将来的には市場が上昇へと導かれていることを意味しています。

    今週の好材料はこれで終わりです。ビットコインの相場は6月18日に$17,597に下落、2020年12月水準に並び、史上高値の$68,918から75%近く下落したことを思い起こしてみてください。2022年に入ってから見てみると、ビットコインは1月1日に$47,572でスタートして、6月18日までに63%下落しました。 しかし、チャートが示すとおり、$24,000を超えると、弱気筋の抵抗が強くなり、上昇への動きが急に鈍くなりはじめました。 なお、週高値は、7月20日に$24,264、7月29日に$24,435 、8月11日に$24,891、最後に8月15日の$25,195 です。つまり、上昇トレンドが続いているように見えますが、この4週間で4%以下の伸び率です。 なお、先週は、全体的にかなり投資家を失望させました。

    この執筆時点の8月19日(金)の夕方、暗号資産市場の時価総額は1兆280億ドル(1週間前は1兆1550億ドル)です。Crypto Fear & Greed インデックスは7日間で9 ポイント下がり、42ポイントから33ポイントで、非常に恐怖のゾーンに近くなりました。BTC/USD は、再び、急落、$21.095での取引です。この下落には、いくつか理由があります。一つは、FRBの利上げ継続の意向が前回の会合の議事録で明らかになったことです。次に、ステーブルコインフィーバーから強い下落圧力です。まず、USD が危うくなり、Huobi暗号資産取引所のトークンのHUSD は、先週ドルに対してペグを失いました。多くの暗号資産ファンドの倒産をこれに付け加えると、市場が悲観的であることは明らかです。

    有名なアナリストでDataDash の創設者であるニコララス・メルテン氏は、ビットコインやイーサリアムはここ数週間の価格上昇にもかかわらず、弱い兆しを見せていることに注目しています。メルテン氏によると、株式市場の回復が暗号資産市場よりも先立つということについて、上昇をつづけるほどの余力がそれほど後者には残っていないといいます。下降トレンド時に暗号資産が株式よりも早く売り抜けられるのであれば、暗号資産の回復も早いはずです。しかし、現時点ではそのような回復は見られません。

    ニックネーム Capoという別の暗号資産ストラテジストは、“ビットコインが$25,400-$25,500 範囲の嵐をおこす可能性が見られる” といいます。しかし、同業のNorhstar & Badchartsは、ビットコインが$10,000-$12,000に急落をはじめるという見方をしています。 Kitco ニュースで次のように仮説を立てています: “チャートによると、ビットコインの価格はカップパターンとは反対の逆アーチです。… 多くのテクニカル分析ではビットコインの新安値が$10,000 -$12,000になる可能性が70-80% と高く、上昇のチャンスについては20% から30%ぐらいです"。 Norhstar & Badchartsによれば、ビットコインの相場が上昇すれば、$29,000-$30,000になるでしょう。彼らによれば、BTC下落前の上昇の最大水準です。 “早ければ既にピークになっているか、非常に近くなっています” とNorhstar & Badcharts は述べています。

    いつものように、ビットコインにかなり投資をしているインフルエンサーたちは悲観的な波を打ち破ろうとしています。

    彼らはビットコインのすばらしさをいろいろな人やいろいろな場所で説得を続けています。例えば、元ホワイトハウス広報ディレクターで現在は投資会社スカイブリッジ・キャピタルの代表を務めるアンソニー・スカラムッチ氏はCNBCのインタビューで2100万コインというビットコインの供給制限が “わずかな供給で需要ショック” につながると回想しています。スカラムッチ氏はビットコインが6年以内に前例のないほどの上昇をすると予想しています。 “私たちが正しければ、$300,000 に上昇するため、$20,000 もしくは$60,000で購入したかは問題ではなくなります。将来的には私たちの勝です。思ったより、早く実現するかもしれません” と彼は述べています。

    ホワイトハウスの元ディレクターはマイクロストラテジーの元責任者であるマイケルセイラー氏によって共感されています。こちらの会社は同氏の運営の下、129,698 BTC を購入していることを思い起こしてください。現在、この取引で大きな含み損があるにもかかわらず、マイケル・セイラー氏は準備資産としてのビットコインの購入の正当性や将来的には信頼性が証明されると確信しています。 “私たちは[…] 海に投げ出されることを覚悟して、ビットコインという救命ボートに乗り込み、溺れることなく時間をかけて、この過程に感謝することになるでしょう” と同氏は述べています。同氏によれば、暗号資産のボラティリティは短期投資家や企業にしか影響しないので、ビットコインは万人向けではありません。“投資は、少なくても4年以上が望ましいでしょう。まさに、世代から世代への価値の意向となります。これを確認するには、4年の移動平均となります” と同氏は述べています。

    そして、このレビューの最後は、もう一人、ビットコインのマキシマリストの発言です。 “1 BTCで、今でもブガッティを購入したいと思っています”とKraken 暗号資産取引所のCEOであるジェシー・パウエル氏は述べています。スポーツカーのブガッティの購入金額が1台500万ドルを超えるとすると、この夢を叶えるにあまり多くのことは必要としません: “ただ” ビットコインが250 倍に上昇するのを待つだけでいいのです。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: こちらの内容は金融市場への投資推奨やガイドラインではなく情報提供のみを目的としています。金融市場の取引には、リスクが伴うため入金した資金のすべてを失う可能性もあります


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