September 2, 2022

通貨ペアだけでなく、暗号資産、株式、金、その他の資産相場は、世界中の様々な出来事に影響されます。これには、議員選挙や大統領選、中央銀行の決定、マクロ経済のデーター発表などが挙げられます。この項目や日付については、NordFXツールの経済指標カレンダー にあります。カレンダーはトレーダーの利益を増やして、逆指値注文の執行や保有資産をリセットする喜ばしくない想定外を避けることができる便利なツールですので、これは偶然というわけではありません。

カレンダーに表示されているもの

経済カレンダーの各セクションを詳しく見てみましょう。最上部で特定の日の選択やデフォルトで"すべて"のままにしておくこともできます。この場合は、今週の予定になります。

横の縦3点をクリックすると設定メニューです。ここでは、次のことができます:

-地域に合わせたイベント時間の設定; 

- 重要度によるイベントの並べ替え (黒い星印は市場でボラティリティが大きくなる可能性があるとても重要度の高いイベント; 白い星印は重要度の低いイベントを表示);
­- 同じように、取引で重要な通貨を目立たせる。例えば、EUR/USD とGBP/USDの取引なら、EUR、USD、 GBPにだけマークをしておけば、ほかの不要な情報に気をとられることはありません。(ただし、これらのペアの相場は中国経済のようなほかのイベントに影響されることも知っておきましょう)。

経済カレンダーには次の項目があります:

- 日付。開催場所や統計が発表されるイベント開催日時。上記のとおり、タイムゾーンは設定できます(が必要です)。

- 通貨。選択した通貨の国のすべてのイベントが表示されます。したがって、この通貨を含んだすべての相場に影響があり、クロスペアの相場にも影響を与える可能性があります。

- メッセージ。これはイベントそのものになります。クリックすると、追加情報のメニューでイベントについての詳細や一般的な為替相場に与える影響と発表頻度などがわかります。

- 影響。経済カレンダーのすべてのイベントには重要度が示されています。なお、重要度が大きいほど、市場に反映されます。

-結果。イベント後の実際の指標です。トレンドの方向やボラティリティの大きさは結果に反映します。

- 予想。 指標の予想値です。通常、将来的なトレンドを知るため予想に注目します。

- 前回。前回のレポート期間と同じ指標値です。予想と前回の指標値を比べることで、ニュースによる取引戦略を立てることができます。

経済カレンダー: 使用目的と使い方1

経済カレンダーでの取引の仕方

まず、既に述べましたが、週もしくは特定の日にある重要なイベントを目立たせる必要があります。おそらく、ピッピングもしくはスキャルピング取引をしている人にとっては、黒い星印、半分黒い星印、まったく黒くない星印のイベントが重要になります。緩めの戦略では、最も重要なイベントにだけ注目すればいいかもしれません。   

例えば、中央銀行の会合です。金融政策の予定変更や将来的な手掛かりとして通貨は非常に大きな影響を受けるので、本当に非常に重要なイベントです。つまり、カレンダーでこのようなイベントを見つけたら、定期的にNordFXのウェブサイトにある予想で先に状況分析をして、必要な戦略を立てて備えることができます。

例として、2020-2022年のアメリカの連邦準備制度理事会の動きを見てみましょう。COVID-19 パンデミックの間、こちらの規制当局は自国を支えるための金融緩和政策(QE)を実施して、連邦政府借入金利の引き下げ、増刷による紙幣で市場を溢れさせました。その結果、株式市場は上昇に転じ、逆にドル安が進みました。

過剰なマネーサプライにより空前の高いインフレ率となり、FRBはその対策として量的緩和(QE)というハト派的政策を退け、反対に量的引き締め(QT)と利上げというタカ派的な政策に切り替えなくてはいけなくなりました。そのため、DXYドルインデックスでは主要6通貨に対してドルは高くなりました。米ドルはユーロ (EUR)、円 (JPY)、ポンド (GBP)、カナダドル (CAD)、スウェーデンクローナ(SEK)、スイスフラン (CHF) などの中央銀行が緩和政策のままにした通貨に対して高くなりました。


マクロ経済統計とファンダメンタル分析に基づく実行計画を立てる時は、予想に反映した事前の市場予想を考慮することが必要不可欠となります。一方で、市場が予想(噂を含む)を相場に組み込んでおり、その後のイベントで予想していたことが起きないことがあります。例えば、米連邦準備制度理事会が次回の FOMC (連邦公開市場委員会) で金利を 0.75% 引き上げる可能性があるとした市場予想とします。米ドルは予想通り上昇をはじめます。しかし、会合の結果、規制当局は実際には0.75%ではなく、0.50%の引き上げだということがわかりました。上昇していたかのように思われたドルは急落です。何故でしょうか?それは、既に相場には予想が組み込まれていましたが予想通りではなかったからです。つまり、このようなことからもイベンドからの実際の値動きは統計平均と異なる可能性があることを考慮する必要があります。

取引開始はいつがいいのでしょうか? 経済カレンダーを使うなら、ニュース発表のだいたい1時間または30分前がいいでしょう。市場は、この間、まだ、落ち着いていますし、現在の価格での取引開始が可能だからです。この後になると、まず、ボラティリティが大きくなるかもしれないので、非常にリスクが高くなります。次に、市場スプレッドは、通常、このような期間に大きくなります。つまり、このような取引には、通常、ブローカーによっては推奨されていないか、禁止されています(この推奨は、スキャルピングやスキャルピング戦略 には適用されません)。

カレンダーの"黒い星印"

どのイベントに注意を払うべきなのでしょうか? 既に述べましたが、カレンダーの黒い星印には、まず、一つに中央銀行の会合が挙げられます。利上げがないにしろ、中央銀行は常に金融政策調整のためのツールを備えています。規制当局の代表やトップの発言もとても重要です。中央銀行の将来の方向性や実行可能なことについて示唆している可能性があるからです。

通常、マクロ経済統計は、過去1ヶ月、四半期、または1年についてです。カレンダーで、その国のGDP データーを確認できます。しかし、GDP データーは遅行のものです。購買担当者景気指数(PMI)などの指標は、この場合、先行指標です。これらの指標は、購買担当者へのアンケートをもとに産業界やサービス業の状況を反映したもので、経済の成長や後退を示すバロメーターです。

次に重要な指標はインフレデーターです。これは、例えば、CPI 消費者物価指数で過去の一定期間での財やサービスの価格水準の変動を記録したものです。つまり、CPIは消費者インフレ率の先行指数で、家計支出や自国通貨の購買力の変化に反映されます。

経済のもう一つ重要な区分は労働市場です。これは、通常、失業者、新規雇用者 (例としては、NFP、米非農業者雇用者数)、賃金水準の変動に関するデーターです。このような統計は、国の規制当局の主な機能の一つが最適な雇用水準の達成やインフレ抑制なので相場に大きな影響をもたらします。

カレンダーのブラックデー

経済カレンダーを利用する時は、紛争の勃発、自然災害、テロ行為、大きな政治スキャンダル、予期せぬ規制当局の決定などどうすることもできない予期せぬことがあることを知っておく必要があります。

例えば、思い出してみましょうl:

- エネルギー危機を起こした2003年のイラク戦争と2022年のロシアのウクライナ侵攻、

- 日本の原子力発電所"福島第一原発"の事故を引き起こした2011年の津波、

- 2001年のニューヨーク世界貿易センタービルへの空爆テロ、

- 2022年、イギリス首相を辞任に追い込んだセックススキャンダル、

- スイスの中央銀行の決定により、スイスフランが40%にまで高くなり、金融市場の多くの参加者を破産に導いた2015年1月15日の"ブラックサーズデー" 。

これらの不可抗力のイベントは、多くの人たち同様、あなたをお金持ちにするか (ちょうどその時に、適した方向で適した通貨を持っていれば)、残念ながら文無しにすることにもなります。したがって、資金管理や損切の注文についても気にしておく必要があると思います。なお、利益確定注文も無視できないでしょう: 利益が出ているポジションをクローズしないままでいると、価格が反転して進むこともあります。

経済FXカレンダーを必要とする人

このツールはよくFXカレンダーと呼ばれますが、通貨取引をする人だけでなく、暗号資産、株価指数、株式、金、銀、原油などの取引を行う人にも便利でしょう。なぜ? これらの資産のチャートを比較すれば、あなた自身がこの質問に答えられます。すべての資産は、多かれ少なかれ、直接的、もしくは逆相関関係にあります。例えば、米国のインフレ率はFRBの利上げを余儀なくさせ、ドル高に導きましたが、株式や暗号資産のようなリスク資産の相場を下落させます。

このようにカレンダーなどのツールは、グラフィカル分析やテクニカル分析に従事する人々にも必要です。重要なマクロ統計の発表時には、市場のボラティリティが著しく大きくなり、グラフパターンが崩れ、指標が狂ってしまうことがあります。この場合、このような乱高下の間はトレーダーを市場から遠ざけさせるため、カレンダーはトレーダーの資金損失リスクの軽減に役立ちます。


« お役立ちの記事
Follow Us