September 11, 2021

EUR/USD: ユーロ圏 QE 再調整

  • 9月9日(木)のECB の会合では、特に驚かされることはありませんでした。金利は、据え置きで0%です。ヨーロッパ規制当局は、量的緩和政策(QE)の“ハト派”的縮小を提案しています。より正確に言えば、クリスティーヌ・ラガルド総裁は、 政策の“テーパリング” ではなく “再調整” であるとしています。また、第4四半期の資産購入ペースの減速は、3月に決定した加速を反転させただけです。そうなると、ECBは柔軟に、必要ならば、来年早々に購入ペースを変更するかもしれません。

    規制当局は、段階的な量的緩和政策を明示する12月の会合までは大きな動きをしたくないようです。その間は、状況の変化の様子見です。9月26日に実施されるドイツの議会選挙の結果は非常に重要でしょう。特に、キリスト教民主同盟のアンゲラ・メルケル首相に率いられない2005年以来の初めての選挙になるからです。

    “再調整” 決定に加えて、ECBは2021年のユーロ圏GDPの見通しを4.6%から5.0%に、インフレ率の見通しを1.9%から2.2%に引き上げました。同時に、消費者物価上昇率は2022年に1.7%、2023年に1.5%に低下すると予想しています。これは、長期に渡り、超ソフト金融政策が続くことを示唆しています。また、2023年末‐2024年初め以前に利上げについての話し合いの必要がないこともです。

     経済成長は EUR/USD の強気筋サイドですが、金融政策は弱気筋サイドです。ECBからは明確なシグナルがなく、12月までは明らかにならないでしょう。つまり、市場は、どちらの通貨を選ぶか米連邦準備制度理事会からのシグナルを待っています。

    長期的なヨーロッパの量的緩和政策については、上記のとおりです。米連邦準備制度理事会(FRB)では、既に今年には量的緩和政策の縮小を始め2022年末には完了する可能性があります。この見解は、米中央銀行の先導するタカ派ロビーに支持されています。FOMCのメンバーであるミシェル・ボウマン氏は、特に8月の雇用統計が期待外れであったとしてFRBを退陣させるほどではないと特に強調しました。

    バランスの強さではドル側に作用し、EUR/USD は下向きになるはずです。現時点では、アナリストの50%は、これに同意見であり、グラフ分析で裏付けされています。このペアは、先週、1.1810で終わり、現在は、1.1800、1.1750、1.1705、1.1665のレベルでサポートが予想されています。アナリストの15%は、1.1800圏内で足踏み、残りの 35% が上向き予想です。レジデンスレベルは、1.1845、1.1908、1.1975、1.2025、1.2100です。

    D1のインジケーターは、次のとおりです。オシレータの 50%は上向き、10%は下向き、残りの40%は中立です。 トレンドインジケーターでは、35%が緑、65%が赤です。

    来週の経済カレンダーは、少し忙しいようで重要な統計すべてが、この国の消費者市場に集中しています。9月14日(火)には消費者物価指数、16日(木)には小売売上高、そして翌日にはミシガン大学消費者信頼感指数が発表されます。

GBP/USD: ほぼ結果なしの動き

2021年9月13日‐17日のFXと暗号通貨の予想1

  • 1.3725の安値で放物線を描いた後、GBP/USD は、9月10日(金)には、月曜日(1.3865)のほぼスタート地点まで戻り、1.3830で5日間を終えました。2021年2月以来の断続的な1.3700-1.4000の中央値

    は超えることはできませんでした。

    上向きを続ける(このシナリオは現在、アナリストの60%の予見)なら、直近の強固なレジデンスは1.3909で、その後は、1.3960、 1.4000 、1.4100です。強気筋は6月1日の高値である1.4250の更新を目指します。反対(30% のアナリストの予見)の場合は、1.3730、1.3665、1.3600圏内のサポートです。残りの10% のアナリストは横ばいの見方です。

    D1オシレーターに関しては、70% が緑、15%が中立、残りが買い過ぎを示しています。トレンドインジケーターでは、1週間前と同様、9対1で緑の勝です。

    来週のイベントには、9月14日(火)にイギリスの失業率データーの発表と9月15日(水)にこの国の消費者市場に関する統計発表が予定されています。

USD/JPY: もうひとつの結果なしのペア

  • 安全通貨であるUSD/JPY は、この3月から水平線に沿った動きで108.30-111.00 の取引範囲を稀に抜け出そうとすることがありました。そして、今回も、109.70で週明けを迎えた後、開始地点とほぼ同じ109.85で取引を終えました。さらに、取引幅は狭く、85ポイント以内で: 109.60 から110.45です。積極的なトレーダーは、このようなボラタリティでは満足しません。その一方で、ストップロスや利確の注文を正確に置き、最小スプレッドと最大1:1000のレバレッジを考慮すれば、このような狭い取引幅でもNordFX で十分な利益を生むことができます。

    専門家による近い将来の予測は、次のとおりです: 50%は強気筋サイド、 15%が弱気筋サイド、35% が中立な立場です。D1のインジケーターでは、オシレーターの60% が赤で優勢、緑は10%、中立のグレーが30%です。トレンドインジケーターでは、 50対50 の引き分けです。

    サポートレベルは109.60、109.10、108.70、108.30です。弱気筋の夢は、4月の安値107.45に再挑戦です。直近のレジデンスレベルは、110.00、110.25、110.55、110.80、111.00、111.65です。弱気筋の最終目標は、変わらず、: 悲願の高値112.00の達成です。

暗号通貨: 97: 雨の日

  • 先週の暗号通貨市場は、9月7日の1日に集約できるでしょう。この日、エルサルバドルでは、ビットコインをドルと同等の合法的な決済手段として認める法律が施行しました。この国の若きナジブ・ブケレ大統領は、現地時間の深夜およそ3分前にツィートしました。 “あと、3分で我々は歴史に名を残すだろう”と書いています。これに先立って、大統領はエルサルバドルが、最初に200 BTCを取得したことを認めています。ビットコインは7月20以来急騰し、この発表を受けて$52,000 以上に跳ね上がりました。

    この国のGDPのおよそ20%は、国外で働くエルサルバドル人が親族に向けた海外送金です。彼らが支払う巨額のドル建ての手数料は、非常に収益性が悪く、米国金融構造を潤します。これが、ビットコインを採用した主な理由の一つです。しかし、3分の1がインターネットすら利用していない多くのエルサルバドルの人々にとって、デジタル資産は第7の封印のままです。調査によると、人口の約70% が技術革新を恐れ、年金受給者は政府がこのやり方で自分たちの年金を搾取するのではないかと信じいます。このような心配や誤解により、全国的な講義やデモが広がりました。

    世界銀行は、IMFからのトランシェを台無しにするナジブ・ブケレ大統領の主導サポートを拒否しました。アナリストは、エルサルバドルにはビットコインの使用に関する様々なニュアンスに対応すべき独自の法律がなく、マネーロンダリングやテロリストの資金調達関連のリスクが高まるとしています。また、フィッチなどの大手格付け会社は、エルサルバドルの保険業界が特に打撃を受けると分析しています。B- に評価がなされた国債は、既に流通していますが、不安定な暗号通貨の存在で、さらに状況は深刻となるでしょう。

    9月7日は、明らかに不安定さを示しました。数時間でビットコインの価格は、$52,870から$43,205へと18%下落し、暗号通貨市場全体が引きずられ下がりました。

    その後、ビットコインは損失を幾分取り戻しましたが、9月10(金) のこのレビューの執筆時では$45,000-46,000の範囲で取引がされています。

    Crypto Fear & Greed Index は、恐怖ゾーンに移動し、74ポイントから46ポイントへ下がりました。暗号通貨市場時価総額は、重要な心理レベルである2兆ドルから9月8日までに1兆9,750億ドルへと下落しましたが、取引週の終わりまでには2兆1,000億ドルに上昇しました。

     何があっても、多くの専門家はビットコインとイーサリアムの両方の見通しについては、依然、前向きです。例えば、シニアストラテジストのマイケル・マックローン氏は、9月のBloomberg Crypto Outlookレポートで"レジデンスの最も少ない道"としてビットコインは$100,000、イーサリアムは$5,000を付けると判断しています。 “暗号資産は、以前の高値からの深刻な下落の後、下半期から強気市場に参入する”とブルームバーグの専門家は指摘し、 “ドルを補完するデジタル準備資産としてのビットコインの将来”を見ていると付け加えています。

     億万長者であるビル・ミラー氏のMiller Opportunity Trustの運営陣は、ビットコインをゴールドのデジタルアナログと呼び、BTC/USD の十分な上昇の可能性についても語っています。“金の資本金は11兆ドル、ビットコインは9,000億ドルに過ぎず、これには大きな後れがあります。ビットコイン普及の初期であり、資産には大きな変動があるでしょうが、リスクに対するリターンの割合は魅力的です。" とMiller Opportunity Trust は、米国証券取引委員会(SEC)に提出した申立書で述べています。

    Ark Invest のCEO キャシー・ウッド氏も、暗号通貨市場の急騰の終焉は、まだ遠いと考えています。市場でのバブル価格のサインはないと述べています。 “私たちは、ビットコインが価値の蓄えやデジタルゴールドをはるかに超えるものだと考えています。これは、完全なる分散化されたものであり、政治家の気まぐれで左右されない新たなグローバル金融システムです"。とはいえ、キャシー・ウッド氏は、今後5年から15年は非常に刺激的でS字曲線を描く原因になると考えています。つまり、この分野が落ち着くまでは、ビットコインに最も効果的な影響を与える規制が必要となります。

    国際的な銀行グループであるStandard Charteredのアナリストも、ビットコインとイーサリアムの見通しには肯定的な評価です。ビットコインを通貨として例え、イーサリアムは、融資、保険、交換取引所での金融市場で用いられると例えました。つまり、イーサリアムは幅広く用いられるため、資本が最終的にビットコインを超えるかもしれません。

    Standard Charteredは、ビットコインの価格帯を $50,000-$175,000 、イーサリアムの価格帯を$26,000-$35,000と予想しています。つまり、それぞれの暗号通貨は、3倍、10倍になるべきでしょう。 “将来的なイーサリアムのリターンは、ビットコインを上回る可能性もありますが、リスクもまた、高くなります” と銀行の代表は述べました。

     平均的に、アナリストの20%は、BTC/USD は来週$50,000 を超える見解であり、月次予想では、その数は、40% に増え、お正月前では80%になります。 

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。


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