November 6, 2021

EUR/USD: 米国労働市場に注目

  • 先週の中心的なイベントは、アメリカの連邦準備制度理事会とイングランド銀行の二つの政府機関の会合でした。トレーダーは、米国非農業部門雇用者数のNFPなどの重要な指標を含む米国労働市場のデーターにも関心を寄せました。

    予想通り、FRBは今月から1,200億ドルの量的緩和(QE)政策を縮小することを発表しました。11月の国債購入額は100億ドル縮小の700億ドル、住宅ローン担保証券は50億ドル縮小の350億ドルとなります。12月の資産買戻しの縮小額の合計は、150億ドルと同水準にとどまります。

    米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長は、前回の会合により、依然、労働市場の完全な回復に至っておらず、予測によれば、2022年半ばまで続くため、利上げ時期はまだ来ていないと述べました。FRBは、それまで辛抱強く待つことになるでしょう。同時に、パウエル議長は、来年の初めには経済状況に応じて刺激策の縮小のペースを加速にも減速する方向にも調整できると述べました。

    FRS議長のこの発言から、政府が撤収する方向に向かっており、現時点では超ソフト金融政策の早期削減を期待すべきではないことが理解できます。このような解釈で、株価指数は再び上昇、ダウジョーンズ、S&P500、ナスダックは史上最高値更新となりました。

    (利益を上げれるNordFXのお客様のうち一人が、初めてナスダック(Ustec.c) 取引で10月に$38.124の収益を上げたことは注目です。)

    つまり、アメリカの中央銀行は、市場の状況に応じて決定を下し、調整する準備ができています。欧州中央銀行については、FRBとは異なり、市場が間違っていると考えです。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は11月3日(水)、銀行の理事会で利上げに対する3つの状況を明確にしており、この3つの状況は2022年中は揃わないだろうと述べました。

    投資家は、ユーロ圏のマクロ統計にも満足しませんでした。総合PMI(購買担当者景気指数)は、3カ月連続の減少で、9月のドイツの工業受注量は、8月に8.8%減少したにもかかわらず、わずか1.3%の上昇でした。また、積極的に売られているユーロ圏の国債利回りの上昇は、債務危機の市場を連想させ、危惧されています。

    これらの要因がユーロに大きな圧力をかけ、下落となり、その結果、EUR/USD は、10月の安値更新となりました。

    FRSの議長は、労働市場の回復に注目し、最優先課題であることを述べました。このことから、NFP(非農業部門雇用者数)の動向がより重要になります。この米国の非農業部門雇用統計は、通常、毎月第一金曜日に発表されており、今回は11月5日に発表されました。このデータによると、10月の新規雇用者数は53万1,000人(予想は42万5,000人、前回値は31万2,000人)です。また、失業率は9月の4.8%から4.6%に低下しました。このような背景で、株価指数はさらに上昇しました。 EUR/USD については、修正後、1.1567で今週の取引を終えました。

    当然、D1のインジケーターは、ほとんどが下向きです。トレンドインジケーターも100% 同様です。オシレーターについても同様のことが言えます。しかし、10%はニュートラルな位置にあり、10%は売られすぎ圏内、さらに10%は週の終わりに上に向いています。

    専門家に関しては、25%が上昇、同数が下落、50%が横ばいの支持です。サポートレベルは、1.1535、1.1500、1.1485、1.1425、1.1250。レジスタンスレベルは、1.1575、1.1615、1.1665、1.1715、1.1800、1.1910。

    今後のマクロ経済統計に関しては、11月10日(水)にドイツとアメリカの消費者市場の状況に関するデーターと11月12日(金)にミシガン大学の消費者信頼感指数(速報値)の発表があります。この指数は、米国の消費者の経済成長に対する信頼感を示す指標であり、消費者の購買意欲を評価するものです。

GBP/USD: イングランド銀行からの衝撃

  • 弱いGDP成長率と高いインフレ率が組み合わさったスタグフレーションの脅威は、ブレグジットの影響で圧力がかかっているイギリス経済にとって非常に深刻です。イングランド銀行の専門家の予測によれば、年間のインフレ率は2022年4月まで約5%まで加速し、遅くとも2022年末までには目標水準である2%に低下するとされています。これは、速いスピードであり、イングランド銀行の会合の数日前にアンドリュー・ベイリー総裁は、このような指標であれば、当初の予定よりも早く利上げを行う必要があるかもしれないと発言しました。この結果、市場は11月に政府の利上げを信じていましたが... 予想は裏切られました。

    イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は、11月4日(木)に開かれた会合で、7対2で金利を前回の0.1%水準に維持、6対3で資産購入量を8,950億ポンドに維持することを決定しました。投資家の政府に対する失望がポンドの暴落として反映されました。GBP/USD は、1.3425で270ポイント下げ安値をつけました。今週の終了の鐘は、1.3490で鳴りました。

    アンドリュー・ベイリーは、投資家に誤解を与えたとの批判に対し、" 11月の利上げについて約束したことはない" また、"市場管理は、私の仕事ではない" と応えました。イングランド銀行の金融政策委員会の外部委員であるシルヴァーナ・テンレイロ氏は、中央銀行は短期の衝撃的な状況に対応すべきではなく、来年は物資供給の課題がそれほど深刻ではなくなると考えていると穏やかに語りました。反対の立場をとったのはデイブ・ラムスデン副総裁で、労働不足がより深刻になっているので利上げには賛成だと述べました。

    一部のアナリストが指摘しているように、現在、ロンドンはEU離脱協定の第16条の適用に期待が高まっています。この条文では、ブレグジットにより、さらなる経済的またはその他の深刻な問題が生じた場合は、当事国の一方がその取引の一部を中断することが可能となっています。つまり、EUの反応は、イギリス政府の想定よりも、より過激になる可能性があります。つまり、この状況は、ポンドにさらなる圧力をかけ続けるでしょう。

    11月11日(木)に英国の第3四半期GDPの速報値が発表されます。アメリカのマクロ統計とあわせて、市場感情に影響を与える可能性があります。一方、アナリスト意見は次のとおり: 55%が値上がり、35%がD1のグラフ分析とともに下落を支持、残りの10%は中立の立場です。

    D1のオシレーターでは、75%が赤、25%が売られすぎを示しています。トレンドインジケーターは、100%赤です。サポートレベルは1.3470、1.3420、1.3380、1.3200、弱気筋のターゲットは1.3135。強気筋のレジスタンスレベルとターゲットは、1.3510、1.3570、1.3610、1.3735、1.3835。

USD/JPY: 再び、横ばい傾向

  • 過去3週間のチャートでは、USD/JPY の上昇の勢いが収まり、横ばい傾向で、113.40-114.40内の: お気に入りの動きにとなりました。10年債利回りが1.53%まで低下したことを背景に、円は上昇、週末まで強く、この範囲の下値支持線で終了しました。

    現在の状況は、専門家の見解やインジケーターの値でより明らかにされています。アナリストの50%は、113.40-114.40範囲の上値抵抗線まで戻る見方、25%がピボットポイントに沿っての推移、 25%が 112.00 エリアに下落を予想しています。週間から月間予想になると、後者の支持は50%に数が増えます。

    D1のオシレーターは、完全に不一致です: 35% は上向き、40% は下向き、15%は売られ過ぎのシグナルで、残りの10% はニュートラルグレーです。トレンドインジケーターは、中立です: 50% が緑、残りの50% が赤です。レジスタンスレベルは、113.70、114.40、114.70、115.50で、強気筋の長期目標は、2016年12月の高値118.65。直近のサポートレベルと さらなるターゲットは、112.00と111.65。

暗号通貨: 世界を動かした9ページ

2021年11月8‐12日のFXと暗号通貨の予想1

  • 今から13年前の2008年10月31日、サトシ・ナカモトと呼ばれる人物またはグループが、ビットコインのホワイトペーパーを発表しました。この9ページの技術的文書には、金融テクノロジーの世界に革命を起こすことになるピア・ツー・ピアの決済システムの仕組みが書かれていました。ビットコインのネットワークは2009年1月に開始されました。2011年4月にサトシ・ナカモトは姿を消してしまったので、誰が数十億ドル規模の産業の始まりである9ページを書いたのか誰も知ることはできませんでした。より正確には、暗号通貨の時価総額が先週、2.7兆ドルを超えて史上最高だったので、数兆ドルになります。

    しかし、ビットコインのシェアは再び減少しました: ビットコインのドミナンスインデックスは、1週間で44.15%から42.84%に下落です。10月20日の$ 66,925という歴史的記録は、まだ、破られていません。強気派は11月2日(火)に高値更新を試みましたが、$64,260を付けると BTC/USD は反転し、$60,000へ引き戻されました。The Crypto Fear & Greed インデックスは、依然、73 ポイント (先週は、70 ポイント)でGreed (強欲)のゾーンです。

    ビットコインが伸び悩んでいる一方で、多くの投資家の注目はアルトコインに向けられています。リップル(XRP/USD)の価格は上昇し、ETH/USD は、11月3日(水)に再び、史上高値更新です。

    トップアルトコインの中でも、イーサリアムがその長い歴史と多くのプロジェクトで人気があります。ここ数カ月の上昇の主な要因は、ネットワーク取引のためのコインバーニング(燃焼)であり、この焼失率が生産率を上回っていることでした。しかし、ロンドンのハードフォークと最新のEthereum 2.0 Altairのアップデートの後、手数料は約2倍です。ただ、この課題については、開発者が解決することを約束しています。

    先週で、イーサリアムの上昇が始まってから6週目となり、9月21日から75%値上がりました。このトークンは現在、$5,000 水準を目標にしているようです。そして、これには、限界がありません。そこで、CryptosRUs として定評のある暗号通貨アナリストは、ETH が直ぐに$10,000になると予想しています。さらには、このコインをこの値段より低い価格で購入するには、おそらく、これが最後のチャンスであろうと確信しています。ゴールドマン・サックスの専門家の予測では、ETH/USD は、年末までのどこかで、$8,000 に上昇する可能性を排除していません。

    もちろん、市場がビットコインを完全に忘れてしまったというのは不公平です。多くの投資家や専門家は、いまだにこの暗号通貨を一押しです。Chainalysis によると、クジラは、10月の先週だけでも142,000 BTC を購入しました。

    “ビットコインは数学であり、数学的な純粋さがある” ことで、予想可能なレベルを維持することができます。つまり、米ドルを上回るパフォーマンスを発揮します。これは、アップル社の共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏が、最近のYahoo Financeとのインタビューで述べたものです。彼の見解では、政府は気まぐれで新しく紙幣を作り出すことができるため、法定通貨のインフレ予想は難しいとしています。

    -  “金持ち父さん、貧乏父さん”の著者であり、作家で投資家のロバート・キヨサキ氏は、スティーブ・ウォズニアック氏のように、ジョー・バイデン大統領の政権を批判し、米国連邦政府への不信感を表しました。彼は、政府が"人々から金をむしり取り"、インフレを促進させ、抑える努力をしないと考えています。経済の崩壊と新たな恐慌に備えましょう。賢くなりましょう。金、銀、ビットコインを購入しましょう” とキヨサキは呼びかけています。“FRB、財務省、ウォール街を信用していなので、私はビットコインが大好きです。

    中国の暗号通貨アナリスト、ウィリー・ウー氏はビットコインファンダメンタルズとのインタビューで、ビットコインの現在の “強気” 上昇サイクルは、以前のものと大きく異なると述べています。ウー氏は、BTCの最新の蓄積の波は、機関投資家がデジタル資産の長期的な蓄積を目指して暗号市場に参入し始めた昨年末に始まったと指摘しています。彼の見解では、この要因は、現在の上昇サイクルが長くなったことであり、さらに6か月または1年と続く中でビットコインの価格が$ 100,000を超えることを示しています。

    JPモルガン・チェースのアナリストの予測は、非常に控えめです。暗号通貨は上昇を続けることができるが、安定しているとは考えにくいため、重要な資産としては推奨できないとJPモルガンは述べています。ビットコインに関しては、JPモルガン・チェースのアナリストの適正価格は$35,000です。金との比較に基づいた評価であり、暗号通貨のボラティリティは貴金属の約4倍以上であると指摘しています。しかしながら、BTCのボラティリティが半分になれば、$73,000 目標は、"合理的に見える" としています。

    ペイパルの共同設立者であるピーター・ティール氏も、今がBTCを購入するのにふさわしい時と考えていないようです。“ビットコインはすでに$60,000の価値なので、積極的に買うべきではないと思っています。しかし、もちろん、これが、私たちに危機的状況にいることを物語っています” とブルームバーグの言葉を引用しました。同時に、ティール氏は、ビットコインの価格が大幅に下がっていたときに、もっと多くの資金を投資していなかったことを改めて後悔しました。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。


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