December 4, 2021

EUR/USD: 雇用とインフレがすべてを決定

  • 現在の市場は、新型コロナウィルスへの懸念と中央銀行の金融引き締めという2つの要因に支配されています。今のところ、オミクロン株の危険性や経済への影響力が明らかになっていません。そのため、中央銀行、まずは米国連邦準備制度理事会に焦点が移っています。そのため、19人のロイターの専門家は市場の主な動きが金利差によるものとした一方で、15人はオミクロン株を挙げています。

    11月30日の米国上院でのジェローム・パウエルFRB議長の発言は、市場に非常に大きな影響を及ぼしました。それは、アナリストやコメンテーターが議長の言葉から非常にタカ派的である姿勢を見たからです。その結果、ダウ・ジョーンズ、S&P500、ナスダックなどの株価指数はさらに下落する一方でDXYドル指数は急騰しました。

    ドルは、一時間足らずでユーロに対して147ポイント戻し、 EUR/USD は1.1382から1.1235へ下がりました。しかし、市場は、その後、すぐに落ち着き、米労働市場データーへの期待感からこのペアは上昇しました。

    インフレと雇用: この2つの指標は、現在の中央銀行の政策により決定されます。

    ECB は、インフレの上昇は一時的であるため今、封じ込め措置をする意味はないと主張を続けています。12月2日のクリスティーヌ・ラガルド総裁の演説で金融政策が差し迫っているという一部の見方もありますが、具体的ステップについては語られませんでした。ただ、この課題については既に取り組むことが可能です。先週発表された生産データーにはぞっとします: その伸び率は16.1%から21.9%へと加速(予想は18.3%)。この数字は、すでに4.9%になるユーロ圏のインフレが止まらず、上昇を続けることを示しています。ヨーロッパの労働市場は、失業率が7.4%から7.3%へとわずか0.1%減少しただけの小幅な動きでした。

    米国の労働市場の統計は、はるかに良く見えます。初回の失業給付申請者数は、予想の245千人に対して222千人と予想を下回り、4週の移動平均値は2020年3月の最低にまで下がりました。同じく、パンデミックが始まって以来の受給者数は200万人を下回り、1,956千人となりました。

    しかし、米国の非農業部門(NFP)の新規雇用者件数は、わずか210,000件で予想(55万人)と前回値(54万6千人)の両方で大幅に下回りました。しかし、この落ち込みは、米国の労働力不足を背景にすると、それほど劇的なものでもなさそうです。人手不足により、米国の解雇者数が28年ぶりの低水準になったと言うまでもありません。

    予想外のNFPデーターの低さがFRBの決定に強い影響を与える可能性は低そうです。米連邦準備制度理事会が12月14-15日の会合で金融刺激策(QE)の縮小ペースを加速するかもしれないとする理由はたくさんあります。クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁とメンバーのサンフランシスコのメアリー・デイリー氏、アトランタのラファエル氏は、このプロセスを加速させる意見を積極的に支持しています。なお、退任するランダル・クオールズFRB副議長は、このような金融は経済に悪影響を与えると主張しています。副議長の見解では、需要がパンデミック前のレベルを超えており、もはやインフレ率の高さは一時的ではなく、継続的であるとのことです。

    連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長やジャネット・イエメン米財務長官も"一時的"という言葉を捨てる時が来たと考えています。これは、インフレ予想が上方修正され、利上げ予定がより厳しくなることを意味しています。

    おそらく、FRBとECBの金融政策の違いがEUR/USDに引き続き圧力をかけ、このペアは、さらに押し下がるでしょう。50% のアナリストが、この予測に同意する一方で、35%のアナリストは反対の見解です。残りの15%は横ばい支持です。

    D1のトレンドインジケーターでは、反対の立場が優勢で赤が65%です。しかし、オシレーターは混沌としていて統一していません: 40% が下向き、35%が上向き、25% が中立です。

    レジスタンスレベルは、1.1380、1.1435-1.1465、1.1525。直近のサポートレベルは1.1260、次に1.1235、1.1185-1.1200、そして1.1075-1.1100。

    来週のイベントとしては、ユーロ圏の第3四半期のGDPデーターの発表に注目です。また、12月10日(金)には、ドイツと米国の消費者物価指数、ミシガン大学消費者信頼感指数の発表があり、ボラティリティの上昇が予想されます。この指標は、米国消費者の景気先行に対する期待感と消費意欲に対する指数です。

GBP/USD: 弱気の道へ後戻り?

  • 先週のGBP/USD の推移はEUR/USDに似ていました。上院でのジェローム・パウエル議長のスピーチや米国労働市場のデーターにも同様に反応し、その結果、1.3225で5日間を終えました。

    ブレグジットに対する懸念が引き続きポンドの圧力の主な要因となっています。アイルランドのサイモン・コヴェニー外相は12月3日に北アイルランド議定書の適用に関してEUとイギリスには依然大きいな相違があると述べています。外相は、交渉に突破口はなく、これらの相違点が年内に克服されることはないだろうと述べました。

    GBP/USD 1.3300 を超えての足固めができませんでした。シンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)によれば、12月のポンドは下落を続けるかも知れないが、1.3195(11月の安値)の強力なサポートを克服することは困難です。成功すれば、このペアは1.3135でサポートという道を作ります。強気に関しては、1.3300 圏内での重要なレジスタンスを克服することがまず、一番の課題となります。それで、もし、12月16日にイングランド銀行が利上げをしたとしても問題とならないでしょう。その次のレジスタンスは、1.3360、1.3410、1.3475、1.3515、1.3570、1.3610、1.3735、1.3835。

    アナリストの30% は、近い将来のこのペアの上昇を期待しており、45% は下落予想、25%は中立の立場です。 しかし、D1 のインジケーターは明らかに弱気の見方をしています。トレンドインジケーターの100%が 下向きです。オシレーターについても同じことが言えますが、15%のオシレーターが売られすぎのシグナルを出しています。

USD/JPY: 円は後戻りせず

  • USD/JPY は、11月末の取引幅113.40-114.40を超え、多くの専門家 (55%)の予想通り、下がり続け、112.52で7週間ぶりの安値を更新しました。 その後、トレンドが反転し113.40-114.40への流れに何度か向かおうとしましたが失敗して、 112.80で終了しました。

    コロナウイルスのオミクロン株感染拡大に対する投資家の懸念で円は安全通貨として支持されています。しかし、最初のパニックが過ぎ去った今、ドルに対する優位性が徐々に失われつつあります。

    また、GDPに対して債務が非常に高いことで日本が困難な状況にあることも忘れてはいけません。多くの専門家によれば、景気回復のペースを上げるために新たな金融刺激策を講じ、円にさらなる圧力をかける必要あるといいます。

    これが実現するまでに、UOBのアナリストは1.1250のサポートを試すとしていますが、これを突き抜ける可能性は非常に低いでしょう。出来たとしても、111.85-112.00付近で次の障害があります。クレディ・スイスの専門家によると、強気のシナリオの導入には、このペアが113.70-114.00 圏内を超えて114.80のレジスタンスを克服する必要があります。これは、11月24日につけた5年ぶりの高値115.52に向けた良いスタートになります。

    多くの専門家 (55%)は強気側で25%は弱気側、そして、 20%は横ばいの予想をしています。また、90%のオシレーターは 下向きですが4分の1は売られ過ぎ圏内で、残りの10% は上向きです。トレンドインジケーターでは、65%対35% で赤が優勢です。

    レジスタンスレベルは、113.40、113.70、114.00、114.40、114.70、115.00、115.50で、強気派の長期目標は2016年12月の高値118.65。直近のサポートレベルは、112.50、それから、112.00 と111.65。

    マクロ経済統計としては、12月8日(水)に日本の第3四半期のGDPデーターが発表されます。この指標では、下落 (第2四半期 0.8% 減) から僅かながらの上昇で0.4%になる予想です。

暗号通貨: 薄商いでの深夜の暴落

2021年12月6日‐10日のFXと暗号通貨の予想1

  • 暗号通貨の最前線では、特に平日変わった動きはありませんでした。ビットコインとイーサリアムは、株価指数や投資家のリスク選好に伴って、週の初めには上昇したことさえありました。しかし、それは一時的な一休止でした。暗号通貨市場は、金曜日から土曜日の夜にかけて下がり、約20%の下落でした。BTC/USD は10週前のレベル$41,620に下落、ETH/USD は、$3,510に下落しました。なお、イーサリアムがこの3日前に史上最高値を更新しようと$4,771をつけたにも関わらずです。

    このレビューの執筆時点では、この出来事の真相はまだ明らかになっていませんが、投資家が週末に向けて寝ている夜間の薄商いに合わせて誰かの投機的にしたようです。この説明は、ビットコインが下落後数分で跳ね上がったことからも裏付けられます。ビットコインは、15%上がり、$48,000に上昇しました。"ディスカウント" 価格で素早くコインを補充した人が背後にいる可能性があります。しかし、これは推測でしか過ぎません。

     エルサルバドルの大統領もビットコインの下落の利点を利用することができました。ナジム・ブケレ氏は150 BTC追加したので、彼のウォレットは1,370 コインに増えました。確か、彼は崩壊時に7分しか寝ていなかったので、1コインに$48,000ぐらい支払わなければならなかったとも不満を言っていました。

    この執筆時点の12月4日午後、暗号市場の時価総額は2.2兆ドルで、Crypto Fear & Greed インデックスは中立から非常に恐怖(Extreme Fear)の範囲へと動き25 ポイント台です (47週前)。

    コンサルティング会社deVereグループのナイジェル・グリーンCEOによれば、一年後に価格は2倍になるので、投資家は、この暗号通貨を購入すべきだといいます。 “パニックは BTCの購入に適している”とグリーン氏は述べました。

    投資家は日々のビットコインの価格変動に惑わされるべきではないと考えるのがモーガン・クリーク・キャピタルマネジメントのマーティン・ユスコCEOで彼の意見に同意しています。ユスコ氏によれば、ビットコインが法定通貨より良くなっているわけではありません。法定通貨がビットコインより悪くなっているのです。“底に向かってグローバルレースが起きている”とマーティン・ユスコ氏は述べています。つまり、政府が自国通貨の切り下げの中でBTCは、 世界中で理想的な貯蓄資産になっているわけです。

    スカイブリッジ・キャピタルの創業者で、前ドナルド・トランプ政権の元コミュニケーション・ディレクターであるアンソニー・スカラムチ氏も同意見です。 “我々のように長期的なファンダメンタルズを信じているのであれば、今が買い時です。ビットコインをはじめとする暗号通貨のボラティリティは、ゲームから人々をたたき出します。私の考えでは、一部レバレッジも洗い流され、よい第一四半期のスプリングボードが作られると思います。"と説明し、ファンダメンタルズ要因だけでなく、米国連邦準備制度理事会の金融政策も暗号通貨相場のさらなる上昇を示していると付け加えています。

    時間が楽観視しているインフルエンサーたちが正しいか、間違っているか教えてくれるでしょう。例えば、暗号通貨アナリストでトレーダーのベンジャミン・コーウェン氏は、最近、ビットコインの価格は$50,000を下回ることとはないと主張しています。しかし、実際、そうでした。同時に、投資家にとっては、別のネガティブなシグナルも無視することはできません: オプショントレーダーは、5月以来、初めて、ビットコインの6ヶ月間の下落に賭けています。週足、月足、3カ月コントラクトでも、今月初めに “弱気”に移動しました。

    そして、このレビューの最後は、いつもの特に深刻でもない暗号通貨ライフハックです。ここでは、暗号通貨でのお金の稼ぎ方を紹介します。しかし、同時に、このような例を真似ないように強く忠告します。

    スペインのタラゴナ市の警察は、コンピュータに隠したマイナーをインストールした33歳の男と女を逮捕しました...お店に。犯人は、電気量販店のMediamarkt とEl Corte Ingles デパートで少なくても16台のコンピューターにインストールしました。入手情報によれば、女性が店で購入したとされるノートパソコンの起動方法を訪ねて従業員の注意をそらしました。その間に、仲間は展示されているパソコンに遠隔操作できるようにNicehashマイナー とAnydesk プログラムをインストールしました。

    新品のノートパソコンがフル稼働していることに専門家たちの間で疑念が生じました。MediamarktのCCTV カメラには、犯人が3回来店していることが映し出されており、警察はこの映像から犯人を特定しました。

    暗号通貨のマイニング犯罪に関連する数字を示すと適切かもしれません。Cybersecurity Action Team の専門家によると、Google Cloud のプラットフォームでハッキングされたアカウントの86% は、ハッキングされた後、平均22秒でマイニングに必要なソフトウェアをダウンロードされ、その後、マイニングに使用されています。

    多くの場合、ユーザー側の保護が不十分なため攻撃者がアカウントにアクセスします。読者の皆様は、できる限り警戒してください。

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの資料は、金融市場への投資推奨でもガイドラインでもなく、情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクがあるため投資資金を全て失う可能性があります。


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