May 21, 2022

EUR/USD: DXY の調整によりペアは上昇

  • DXYドルインデックスは、6週間、上昇して5月13日(金)には数年ぶりの高値となる105.05となりました。前回のこの高値は20年前です。しかし、その後は反落して、DXY は5月19-20日に103.00台を下回りました。 多くのアナリストによれば、このような下落はテクニカルな調整による可能性が高く、ファンダメンタルの変化が要因ではないとのことです。後者は、アメリカ通貨支持のままです。しかし、FRBの急激な金融引き締めは、米国経済の成長に対する懸念や景気後退の可能性が大きくなるため、ここでは既に警告のシグナルがでています。

    しかし、繰り返しになりますが、ファンダメンタル要因ではドル側のままです。つまり、5月17日に発表された米国の小売売上高のデーターによると、4月の消費活動は0.9%増加で予想の0.7%より大きくなっています。鉱工業も予想を超えました: 予想の0.5%ではなく1.1%の上昇でした。

    先週、米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長は、6月と7月のFOMC(連邦公開市場委員会)で金利を0.5%引き上げる意図があることを認めました。 米国政府が既に今年になって2回利上げをしていることを思い出してみましょう。これは、もちろん、産業界だけでなく、住宅ローン、消費者ローン、クレジットカードの利子など一般の人々の様々なローンのコスト引き上げにも関連しています。

    しかし、5月17日(火)にジェローム・パウエル議長は、FRBの金融引き締めを続け、インフレ鈍化の"明確で納得できる証拠"が得られた場合に積極的な利上げから退くと明確に述べています。インフレ率の低下が中央銀行を満足させなければ、3.0%にとどまらず、12-15ヵ月以内で4.0% まで引き上がるかもしれません。そうなれば、ドルはユーロを含むDXYバスケットのほかの通貨に対してさらに優位になるでしょう。

    投資家は米国経済と違って欧州経済についてはかなり懸念を抱いています。この懸念の主な理由はEUがロシアのエネルギーに大きく依存していることです。5月16日(月)にEU諸国はウクライナ侵攻による制裁第六弾についての交渉をはじめました。特に、ロシアの石油とガスの輸入に対する禁輸措置の導入について話されていることが知られています。禁輸が全体のものなのか、一部なのか、導入時期や例外については、まだ、明らかではありませんが、既に、ロシア経済のみならず欧州経済に深刻な問題をもたらすことは明らかです。これは、投資家には懸念材料にならざるを得ません。

    米国のジャネット・イエレン財務長官は、この複雑な状況にさらなる不透明感を付け加えました。財務長官はG7諸国がロシアからのエネルギーに最大限の関税をかける議論をしていると述べました。その一方で、この場合にはロシアからの供給禁止の意味をなしません。しかし、同時にエネルギー不足を回避したいヨーロッパ消費者の家計には大きな打撃となります。

    ユーロ圏のインフレ状況は不透明なままです。5月18日(水)に発表されたデーターによると、7.4%という記録的な水準のままで、これはECBの目標水準である2.0%の3.7倍にもなります。フィンランド中央銀行のオッリ・レーン総裁は、このような状況下でECB委員会は“かなり敏速” にマイナス金利からの脱却の必要性に賛成していると述べています。ユーロ圏の預金金利は現在マイナス0.5%であり、2014年から8年間マイナスであったことを思い出しましょう。しかし、"かなり敏速" な脱却については、具体的に今後2カ月でドル金利をさらに1.0%引き上げることを決めた米連邦準備制度理事会とは対照的で非常にあいまいな表現です。

    FRBの具体的ならタカ派的金融政策とECBの漠然としたハト派的な金融政策の違いは、米ドル通貨高のポジションが続くことをほのめかしています。先週は、反対でした: 5 月 16 日から 20 日にかけて、ドルはユーロに対しておよそ150 ポイント下落してEUR/USD は1.0557で取引を終えました。しかし、一部のアナリストによると、今回の出来事はDXYインデックスの一般的な調整の結果であり、中期的な下降トレンドに見合ったものになります。

    5月20日夕方の執筆時点でのアナリストの意見は次のようにわかれています: アナリストの45%はEUR/USD が下落方向に戻るという見解で、同数が上方調整、残り10%が中立の立場です。 インジケーターでは赤が40% で60%が緑です。 オシレーターは一致していません: 70% が緑、20%が赤、10%がニュートラルグレイです。直近のレジスタンスは1.0600で、成功すれば、 1.0640のレジスタンスを突破して1.0750-1.0800に上昇しようとするでしょう。弱気筋の課題の一つは1.0500 のサポートを突破して1.0460-1.0480、そして5月13日の安値1.0350を更新することです。成功すれば、2017年の安値1.0340の旋風がおこり、20年前を下回るサポートがあるだけになります。

    来週の予定では、5月24日(火)に発表されるドイツとユーロ圏全体の事業活動データー(マークイット社)が注目です。水曜日は米国の耐久財受注が発表されます。同日に前回のFOMC議事録の公表があり、26日(木)には2022年第1四半期のGDPデフレーターの速報値がわかります。

GBP/USD: 継続的にインフレ率上昇

  • もちろん、GBP/USD の推移は先週のDXY ドルインデックスの動きと関連があります。しかし、イギリス経済に伴う特定要因により調整もされました。

    イングランド銀行は約2ヶ月前に、インフレ率は4月にピークを迎えるはずという予測を発表していました。5月18日(水)に発表されたデーターでは、非常に大きな“しかし”を一つ除外することで、この予測どおりでした。政府は、ピークは7.2%と予測しましたが、9.0%であり、過去40年間で最も高くなります。そして、これについては、イギリスの偉大なる劇作家ウィリアム・シェイクスピアの言葉を借りて叫ぶ時です: “これがピークなのか、違うのか?それが問題だ!"。どうやら、まだインフレが減速するという話はないようで、まさにこれがイギリス経済の大きな“歯の痛い”ところです。

    GBP/USD は週高値で1.2524をつけました。2つのニュースでポンド安が抑えられました。まず、英国国家統計局によると、この国の小売売上高は4月に予想外の1.4%増となりましたが、市場は0.2%減の予想でした。また、イングランド銀行のヒュー・ピル主席エコノミストによるインフレに対するインフレリスクが高いリスクが残っており、2022年には2桁に上昇すると予測されるため政府が金融引き締め策を継続すると発言したことが英国通貨を支えました。

    その結果、このペアは4月下旬-5月上旬で取引されていた1.2490で取引を終了して、既に2016年、2019年、2020年のところです。下落が続くのでしょうか? アナリストの20%はこの問いに肯定的で25% が否定的です。多く(55%)が中央銀行の首席エコノミストの発言にどう反応していいかわからず肩をすくめました。そして、D1のインジケーターについては、EUR/USD についての意見も分かれています。トレンドインジケーターでは、50% が上を指し、同数が下向き、オシレーターでのバランスは若干異なります: 20% だけが下向きで80%が上向きですが、25%は既に買われ過ぎ圏内です。サポートは、1.2435、1.2400、1.2370、1.2300、1.2200、次に1.2154-1.2164と1.2075。このペアの強いサポートは心理的重要なレベルの1.2000。さらなる上向き調整だと、1.2500-1.2525のレジスタンスを克服する必要があり、その後は、1.2600-1.2635、1.2700-1.2750、1.2800-1.2835、および1.2975-1.3000。

    来週は、5月23日(月)にイングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁の発言、5月24日(火)の総合PMIとマークイット製造業・サービス業PMIの発表が予定されておりイギリス経済の動向が注目されます。

USD/JPY: 円高になる理由

2022年5月23‐27日のFXと暗号資産の予想1

  • 国際通貨基金(IMF)の関係者によると、"全体的に円安は日本を助けています" 。日本銀行の総裁も同じ発言を繰り返していました。IMF は、また、日本政府のイールドカーブのコントロールがかなり効果的であり、円の推移は"中期的なファンダメンタルに伴うもの"であるとした見方をしています。

    しかし、高官たちの発言とは反対にこの2週間は円安ではなく円高が見られます。そして、5月20日はまさに4月20日の: 127.85水準で5月9日の高値131.34の更新はありませんでした。多くのアナリストによれば、日本通貨高は投資家のリスクフリー資産への選好が高まったためです。しかし、これだけが理由ではありません。

    国内のインフレ率は上昇を続けており、国民の不満が強まっています。消費者物価の上昇は8カ月連続で続いています。4月は前年同月比2.5%増となり、2014年10月以来の高い伸び率を示しました。ダウ・ジョーンズの指摘どおり、インフレ率は2008年9月以来初めて2.0%の大台を超えましたが、消費税の増税の影響は考慮していません。3月は1.2%でした。当然のことながら、これら全てが国民不満を引き起こし、政治家は既に積極的対応しています。しかし、ある時点で日本銀行の反応があるはずです。外国人投資家をはじめとした多くの投資家は政府の超緩和政策の固持する姿勢にもかかわらず、利上げを余儀なくされると予想しています。そして、どうやらこの予想が円をさらに支えているようです。

    現時点では、55%のアナリストは円高が続きUSD/JPY の下落が継続、40% が上向きで再び上昇トレンドへ、5%が横ばい予想です。同時にテクニカル分析支持者はチャート上の従来のフォーム:"ダブルトップ" ( "ヘッド- ショルダー")に着目しています。D1インジケーターの勢力配分は次のとおりです。オシレーターでは80%が赤、10%が緑、10%がニュートラルグレイです。トレンドインジケーターでは50%対50%の比率です。直近のサポートは127.50で、127.00、126.30-126.75、126.00、125.00が控えています。強気筋のゴールは、128.00台を超えての上昇、そして、129.00、129.60、130.00、130.50のレジスタンスを克服して5月9日の高値 131.34を更新することです。2002年1月1日の高値135.19は最終ゴールのようです。

    来週のイベントでは5月25日(水)の日本銀行の黒田東彦総裁の発言に注目が集まりますが、予想外の出来事や市場のセグメントになんからの影響がある可能性はなさそうです。しかし、何かあったらどうなるのでしょうか? 市場は黒田東彦総裁が利上げについて、まず、断固と拒否して、その後、突然、変更した2016年の記憶があります

暗号資産: デジタルゴールドラッシュの終わり?

  • BTC/USD の強気筋は5月11日以降、必死に$30,000台を維持しようとしていました。先週は、$28,650-31,000 でのもみ合いが続いていました。S&P500、ダウ・ジョーンズ、ナスダック株式指数が5月18日に反発したにもかかわらず、ビットコインは圧力を受けて抵抗し続けていました。

    一般的にビットコインを株式指数、特にS&P500から引き離すことは多くのビットコイン支持者の夢です。その一方で、支持者たちは暗号資産市場に多くの機関投資家ができるだけ参入して株式と一緒にビットコインが公平にポートフォリオに組み込まれことを望んでいます。しかし、金融市場に本格的な入るために暗号資産はルールや法律に従わなければなりません。また、大口投資家がリスク資産処分のために、マイクロソフト、Apple、アマゾンを売却して国債の代わりにビットコインやイーサリアムに投資することは期待すべきではありません。

    もう一つの夢はビットコインが物理的な金と同じように価値の保有を確立することです。しかし、現時点での"デジタルゴールド" のコンセプトはビットコインへの称賛以外の何ものでもありません。または、小口投資家の目から見た価値を高めるためのマーケティング策略に過ぎないのです。しかし、人類にとって貴金属の重要性は何千年も前から認識されているのに対して、ビットコインの歴史はビットコインの歴史はまだ15年も経っていません。そして、その価値は制限のある排出量と利益欲のみです。

    2010年当時のBTCの価値は 5 セントで、その価格は2021年11月のピークには$69,000 をつけました。素早く、簡単に$100が$138,000,000 になるとした見込みが非常に多くの人々を惹きつけました。そこで、この10-12 年のことを19世紀後半のアメリカのゴールドラッシュになぞらえて “デジタルゴールドラッシュ”と呼びました。しかし、それから、多くの人がお金持ちになる代わりにお金を失うことになりました。同じことが今でも見られます: 5月12日の$26.579に下落したビットコインは今年に安値を更新して2020年12月の価格に戻り、わずか6ヵ月でおよそ 60% を失いました。

    ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、コインベースのブライアン・アームストロングCEOの純資産が137億ドルから22億ドルに減少しました。これはデジタル資産の下落だけではなく、コインベースの株価が80%以上下落したことによります。­ FTX 暗号資産取引所のサム・バンクマン-フリードCEOの資産は半減して現在113億ドルとなっています。暗号資産取引プラットフォームGemini の創設者で知られているキャメロンとテイラー・ウィンクルヴォス兄弟はそれぞれ20億以上を失っており、総資産のほぼ40%になります。 さて、このような状況で"貯蓄とヘッジ" についてどんなことを話題にできるでしょうか?

    ビットコイン支持者がふれたいもう一つの利点は分散と保有者の匿名性です。しかし、単なるウソに過ぎないようです。米国証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長は、暗号資産が分散型と考えられていますが、実際はいくつかの大きな取引上でほとんどが取引されていると説明しています。当局や法執行機関は、これらを注意深く見守っています。そして、ロシアに対する制裁がはじまってからロシア人のウォレットが凍結されたことが多くを物語っています。

    最後に、BTCの価値を上げる4つ目のチャンスは、支払い手段としての普及です。ここではすべてが順調とはいきません。例えば、FTX暗号通貨取引所のサム・バンクマン-フリードCEOは最近ビットコインが一般的な決済手段となることに懐疑的です。 同氏は、自身のブロックチェーンの非効率性や高い環境コストから数秒間で "数百万件の取引"に対応できる能力に欠けると指摘しています。

    希望から現実に戻ると、暗号資産市場の時価総額が下落を続けていることを述べなければいけません。5月20日(金)の夕方、この執筆時点で1兆2480億ドル(1週間前には1兆290億ドル)です。Crypto Fear & Greed インデックスは非常に恐怖で定着しており、13 ポイント前後です。なお、5月17日(火)は8ポイントまで下落、2020年3月28日以来の最低水準です。 BTC/USD は$29.325水準で、ほとんど"ウォー・ゾーン"ではありません。

    金の支持派のユーロ・パシフィック・キャピタル社のピーター・シフ社長はビットコインが既に$33,000付近の重要なサポートレベルを失ったと考えています。そして、暗号資産が次のレベルになるためには$8,000 に下落する必要があります。 “サポートラインは破られました。より低いサポートラインへの推移の可能性が高くなります。チャートはダブルトップとヘッドショルダーパターンの2つのパターンを同時に示しています。これは不吉な組み合わせです。長い道のりを下ることになります” と“金本位支持者”は自身のブログに書いています。

    金持ち父さん貧乏父さんベストセラー作家で起業家のロバート・キヨサキ氏は、ビットコインの暴落を “素晴らしいニュース”と言い、$17,000 レベルになろうとすると推測しています。“以前、言ったとおり、ビットコインが$20,000に下落すると予想します。それから、底値を待つことになりますが、それは$17,000かも知れません。 そうなったら、私は大きく出るでしょう。危機はお金持ちになる最高の時期です” と同氏は述べています。

    しかし、ニックネームDonAlt という暗号資産ストラテジストによるとビットコインが$30,000付近の重要なサポートを突破した後はどちらに向かうかはわからないままだそうです。 “今後3ヶ月で、誰もが待ち望む降伏を見るか、ビットコインがレンジを閉じで$58,000に向かうかのどちらかになるでしょう” と同氏は記述しています。同氏の見解では、下落の可能性が高く、次のサポートは$14,000。DonAltは、ビットコイン市場の現在の構造が、すでに底を打ったことを示唆している可能性があると指摘しています。しかし、同氏は株式市場の強い相関関係やS&P500のさらなる崩壊の可能性を心配しています。

    Rekt Capital で知られるトレーダーはビットコインのさらなる下落予想に同意見です。同氏は予想されるローカル・ミニマムの前に、コインはその価値のさらに25%を失う必要があると考えています。

    一方、Pentoshiというニックネームのアナリストの意見によれば、強気派の好む状況であるため、すぐに反発すると予測しています。Pentoshiによると、ビットコイン下落のために非常に努力していますが望む結果を得られていません。“多くのコインが、大きな努力で手を替えています。しかし、売り手は見合った報酬を受け取っているのでしょうか。そんな風に見えません。

    例として、ビットコインの逆張りチャートを見て、非常に多くの取引量と小さな為替レートの動きを示しました。Pentoshi の考え通り、強い売り圧力にもかかわらず、BTCの下落に弱気筋が失敗しているということは勢いが強気筋に傾いていることを示唆しています。

    アメリカのビリオネアである投資家、ビル・ミラー氏も楽観的なようです。同氏によると、80%以上のビットコインの下落を少なくても3回は通り抜けてきました。同氏のコインの一部がマージンコールで売却されても長期的には強気のままです。

    以上のことから、今のところ、インフルエンサーとアナリストの間で意見が一致しません。このような状況の時はどうすればいいのしょうか? もちろん、手をこまねいて待つこともできます。または、例えば、積極的に取引することもできます。また、CFD原理の取引なら暗号資産が上昇しても下落しても儲けることができます。その上、この場合は実際に暗号資産をもつ必要はありません:  NordFX 証券会社では1ビットコインの取引をはじめるのにたった$150、1イーサリアムだと$15 だけです。なぜ、これが暗号資産ライフハックじゃないのでしょうか?

 

NordFX Analytical Group

 

注意: これらの内容は金融市場への投資推奨やガイドラインではなく情報提供のみを目的としています。金融市場での取引には、リスクが伴うため投資資金すべてを失う可能性もあります


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